交通量が多く、近隣には住宅や公共施設がある場所は活気がありますが、周囲からの視線が気になり落ち着いて過ごせません。
気持ちよく過ごすためには、プライバシーに配慮した家作りが大切になります。
自分たちが理想とする家を作るには、どのようにプライバシーを確保すれば良いのでしょうか。
本記事では、プライバシーを重視した家とはどのようなものか、メリットやデメリットについても解説します。
目次
プライバシーに配慮した家とは
外部の視線から自宅を守りプライバシーに配慮するには、「道路からみえない」「隣家から見えない」「他の建物から見えない」の3つが条件として挙げられます。
ここでは、この3つの条件について詳しく紹介します。
道路から見えない
家の前が道路に面していたり、大きな窓が道路側にあったりすると、外から家の中が見えてしまいます。
交通量が多いと必然的に歩行者も増えますから、カーテンを開けると人の姿を目にするようになります。
また、カーテンの開け閉めによって自宅に人がいることを知らせてしまうため注意が必要です。
部屋の中が道路から見えないようにする、遮断できるような間取りを考えましょう。
プライバシーを守るためには、外部からの視線を遮るような工夫をこらすことが重要です。
隣家から見えない
敷地が隣接している場所では住宅同士の距離が近いため、間取りによっては室内が見えてしまうことがあります。
離れていても、二階からは家の中が見えやすくなってしまうこともあるため、間取りには注意が必要です。
これから住宅を建築する場合、設計の段階で隣家との距離を考慮しましょう。
窓の位置や大きさなどは、家が建った時のイメージを考え、隣家からどのように見えてしまうのかを意識します。
他の建物から見えない
周辺に空き地がある場合、将来的に家やビルなどが建設される可能性がないとは言えません。
隣家だけでなく、近隣の建物からもプライバシーを保てるよう、対策を行いましょう。
マンションやアパートなど、高さがある建物が建っている場合、将来的にリフォームや建て直しする可能性もあります。
離れた場所にある建物であっても、オフィスビルやマンションのような大型で背の高い建造物は扉や窓が多く視線を感じやすいです。
このような建物からも視線を感じないようにするために、視線対策を行いましょう。
プライバシーに配慮した家を実現する方法
家族のプライバシーを守るには、外からの視線を遮断しながら、光を取り入れて風通しが良い家にすることです。
疲れを癒しリラックスができる、勉強や仕事にやる気が起きるような家を実現するための方法について紹介します。
窓の位置・高さ・種類を意識する
外部からの視線を感じるのはリビングやダイニングなど、広い部屋に設置された窓です。
窓は採光を目的とするため、位置や高さ、種類がポイントになります。
窓があると適度に太陽光を浴びることができますし、家全体が明るくなり活気が生まれます。
換気や通風・開放感のためにも窓は必要不可欠ですが、隣家との距離も考えて窓の位置が重ならないようにしたり高さを変えたりして、視線がぶつからないようにしましょう。
位置や高さを工夫しても、外部からの視線が気になるのであれば、視線を遮られる機能がある窓を選択するのも方法です。
土地周辺の建物や窓の位置を把握
窓の高さや位置を変えることはもちろん大切ですが、それだけを考えてしまうと、自分がイメージする住宅になりません。
土地周辺にマンションやビルがある場合、窓の位置や角度からどのように見えているのかも確認しましょう。
空き地がある場合、新たに住宅やアパート・マンションが建築される可能性もあります。
どこから・どの角度から自宅が見えるのか、窓の見え方はどうなのかを把握すれば、適切に対処できます。
リビングを2階にする
プライバシーを重視するのであれば、独自の間取りを検討しましょう。
家族の団らんの中心となるリビングは、1日の中でも長い時間を過ごす場所です。
リラックスしてくつろげるようにするには、外部からの視線をシャットアウトする工夫が必要になります。
対策として2階にリビング空間を作り、完全に視線を感じないようにしてはいかがでしょうか。
1階よりも採光を取り入れやすく、空間が明るくなりますし、開放感がえられるだけでなく眺めも良くなります。
子供部屋や寝室などの生活空間を1階にまとめることで、家族の中でもプライバシーを守り外部からの視線もシャットアウトできます。
外構工事で目隠しを配置
道路や隣家の境界線に外構を設置すれば、物理的に目隠しが可能になります。
見た目だけでなく機能性も考慮した上で、どのような目隠しがいいのか検討してください。
外見がおしゃれでも、場所によっては隙間から家の中がみえるようでは、落ち着きません。
住宅の目の前が道路の場合、どの程度の高さで圧迫感がないように配置することも大切です。
リビング前などプライベート空間近くは高めにする、玄関前は正面だけでなく左右斜めからの視線もチェックして配置しましょう。
プライバシーに配慮した家を建てる際のポイント
家づくりにおいて、外部からの視線だけでなく、家族の間であっても守られるべきポイントがいくつかあります。
お互いにプライバシーを尊重し、快適に過ごすためにはどのようなことに注意が必要なのでしょうか。
どのようなことに考慮すれば良いのか、家を建てる際に配慮すべきことやその理由について解説しています。
脱衣所
水回りはまとめて設計されることも多く、バスルームと洗面所・脱衣所を並べていたり、同じスペースに設置するケースも少なくありません。
脱衣所については、家族で使うにしてもプライバシーに配慮すべき場所です。
バスルームを利用している間は洗面所の使用は避けて欲しいですし、反対に洗面所を使いたいのに脱衣所に家族がいると待たなくてはいけません。
洗面所と脱衣所を仕切りで見えないようにする、バスルームと脱衣所をセットにして鍵をつけるなどの工夫も必要でしょう。
トイレ
1日のなかで使う回数が多い場所でもあり、人の出入りやニオイが気になる場所でもあります。
トイレの位置は、住宅の過ごしやすさに大きく関わるため、理想的な場所に設置しましょう。
基本的にはリビングから近く、中が見えない場所が理想的です。
扉の開け閉め時に、人が通るような場所ではないことや、音などが気にならないことも
ポイントになるでしょう。
トイレと部屋は隣り合わせにしないことや、水音などが聞こえにくいようにします。
収納部屋や廊下を隣接すれば、プライバシーも守られ利用しやすくなります。
寝室
ゆっくり眠り、朝はスッキリと目覚めるために、外部からの音や光の調整が大切な場所です。
車の走行音や通行人の会話による声や近隣施設からの音には注意を払う必要があります。
道路沿いに寝室があると音が気になるだけでなく、窓から室内が見えてしまいます。
施設や道路とは離れた場所に配置すれば、走行音だけでなく信号や看板の発光などからも守れるでしょう。
子どもがいる場合、隣接するのではなく収納部屋や小部屋を挟むことで、お互いの生活音を気にすることなく過せます。
子どもの部屋
小学生までは、1つの部屋に子どもが一緒でも問題はありません。
子どもが二人以上の場合、思春期に入るとお互いのペースを乱されることを嫌がるため、部屋を欲しがる可能性があります。
プライバシーを守るためには、将来的にリフォームで部屋を区切るか、最初から子ども部屋にするために部屋を用意しておくのが得策です。
子ども部屋は寝室兼勉強部屋となりますから、両隣のインテリアが設置しないように考えるといいでしょう。
中庭
交通量が多い都会では、子どもを外で遊ばせるのは危険なことです。
そのため、リビングやダイニングから直接アクセスできる位置に中庭を作る間取りにするケースも増えてきました。
空間を広く感じられるだけでなく、全体の風通しや日当たりを改善し快適な空間を作ります。
中庭があることによって窓から窓へ風が通りやすくなり、建物全体に空気が循環します。
建物と道路の距離が近い場合、家の中心に中庭を作ることによって外からの視線を遮る効果が期待できるでしょう。
土間
古い家では土間があるのが当たり前で、外と室内を結ぶ場所として利用されてきました。
玄関から入ってすぐに土間があると、アポイントのない来客の相手をしたり、雨の日には子どもを遊ばせたりするなど多目的な使い方が可能です。
最近ではタイルを敷いて見た目にもこだわるなど、おしゃれな雰囲気の土間も増えています。
収納だけでなく、ベビーカーやアウトドアグッズの置き場にしたり、ベンチや椅子を置いて
みたりと私的な場所として使えます。
外から入ってきた時に、土間があることで室内までワンクッションとなるため、プライバシーを守ることができる場所です。
窓の大きさや種類
部屋や場所によっては、配置だけでなく窓の大きさや種類についてもしっかり確認しましょう。
住宅が道路に面している場合、リビングに大きな窓があると人目や騒音が気になります。
窓は防音性が低いためプライバシーだけでなく防犯の意味も込めて配慮する必要があります。
大きな窓より、対角線上に窓があれば空気の流れを作れます。
トイレや脱衣所などは、プライバシーを考えて窓を作らないケースがありますが空気の入れ替えが十分にできません。
できるだけ小さな窓で、二重ロックにしたり、防犯用のガラスを使ったりするなどの工夫をしましょう。
隣の家と自分の家の窓が被らないように位置や高さを変えます。
キッチンが近い場合には給湯器、換気扇の配置を考え、音やニオイがお互いに気にならないような工夫も必要です。
プライバシーに配慮した家づくりのメリット
自分たちの生活を守るためには、プライバシーに配慮した家作りが重要になります。
快適かつ心地よい暮らしを実現するための家づくりには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、快適な暮らしのためのメリットについて解説します。
周囲からの目線を気にしなくていい
外壁を作り、外からの視線を家ではなく壁に反らすことで人目からプライバシーを守れます。
外から見える窓を少なくし、リビングと中庭をつなげて作れば住宅全体に採光と風通しをもたらしてくれます。
プライバシーに配慮した空間のため、外からの視線を気にすることなく子どもを遊ばせたり、家族や友人とバーベキューなどしたりして楽しめます。
吹抜けにすれば、1階は中庭に2階はバルコニーにしたり屋上を作ったりすると、さらに解放的な雰囲気づくりも楽しめるでしょう。
家族同士のプライバシーが守られる
夫婦はもちろんですが、親子や兄弟姉妹の関係であっても、自分の時間や空間は守りたいものです。
部屋だけでなく、共同で利用するバスルームや洗面所・トイレなどは、顔を合わせると気まずく感じるものです。
洗面所と脱衣所は分けて、お互いに顔を合わせないような間取りにします。
子ども部屋は隣ではなく向かいに設置し、防音などで生活音を気にせず過せるような工夫がおすすめです。
家族が多い場合や高齢者がいるような家庭では、1階はバリアフリーのトイレ、2階は普通のトイレに分けておけば、朝はバタバタしてトイレの順番待ちをすることもなくなります。
来客時に気を使わなくていい
来客をもてなすのはリビングの役目ですが、動線によってはダイニングキッチンと近く、家族と顔を合わせることにもなります。
夫婦どちらかの交友関係が活発で来客が多い場合、リビングは家族の団らんの場所として玄関から離れた場所に作ることも可能です。
来客用の応接室を玄関の近くに設けることで、プライベート空間に他人を入れることがなくなります。
トイレも玄関近くに設置すれば、来客がきても家族に気を使わせることがなくなります。
プライバシーに配慮した家づくりのデメリット
家族同士でもプライバシーを守り、開放的な空間の中でリラックスできるようにはなりますが、不便を感じてしまうケースもあるようです。
ここからは、プライバシーを守ることで感じてしまうデメリットについて解説します。
彩光が悪く閉鎖的になる可能性がある
外的な視線をシャットアウトするために、外壁を作ったり窓を少なくしたりすると、室内に光が入りにくくなり閉鎖的になりがちです。
特に平屋に壁やフェンス工事をすると、閉塞的で圧迫感の強い住宅になります。
光が入らないと風通しも悪くなるため、室内の換気もうまくできず、季節によっては照明があっても薄暗くジメジメします。
周辺の環境から浮いたような感じになり、自宅だけが別次元のような不可思議な雰囲気になってしまう可能性もあるでしょう。
使い勝手が悪くなる
子どもが小さい時には、中庭とリビングがつながっていると便利です。
外に行く時間が取れない時でも、家の中でキャンプ気分を味わえるなど解放的な空間を十分に楽しめるでしょう。
子どもが成長し独立してしまうと、中庭を使う機会が減少していきます。
人が使わない庭は、どんどん荒れていきますからメンテナンスに費用がかかり大変です。
若い時には気にならなかった、生活動線も高齢になると移動しにくく時間がかかってしまうケースもあります。
利用している時には便利だった生活動線も、一部を使わないことで不便に感じてしまうようになります。
セキュリティ面が低下する
外からの視線を気にするあまりに、外部から遮断しすぎてしまうと防犯の面で甘くなってしまいます。
セキュリティ対策をしていても、外壁の内側に不審者が入り込んでしまえば、道路から姿はみえません。
自宅を留守にしている間に忍び込まれてしまうこともありますし、隠れ場所として不審者が
利用しないとは限らないのです。
完全に見えないようにすれば、プライバシーが守られ安心ということではありません。
隠す必要がある場所を、ピンポイントでカバーできるような、家作りを検討しましょう。
まとめ
プライバシーにも配慮した住宅作りは、外的な視線だけにとらわれることなく、間取りや窓の配置などトータル面で考慮していきます。
住みやすさを考えると、家事や生活動線はもちろんですが、採光や通気性なども配慮する必要があります。
家族間のプライバシーも考え、いくつかの間取りを考えた上でバランスがよく満足度の高い
家づくりを始めましょう。
ハウスメーカーによって施工事例や間取り例が異なるため、満足できる家にするために、プロに相談してみてください。
適切なアドバイスがあれば、プライバシーに配慮した、あなただけの家づくりを楽しめます。