建築条件つき土地とは??メリットとデメリット

土地を探していると「建築条件つき」と記載されているものを見かけることもあるのではないでしょうか。

「条件付き」との文言や、条件のない土地と比較すると安価に設定されていることから、

「何かあるのではないか」とネガティブ・マイナスなイメージをお持ちの方も多いようです。

そこで、このページでは建築条件つきとは何を意味するものなのかや、メリット・デメリットについて解説します。

 

建築条件つき土地とは?

建築条件つき土地とは名称が示すように、家屋の建築に条件が付けられている土地を指します。

条件の詳細は土地によって異なりますが、主に設定されている条件として下記が挙げられます。

・指定建築会社
一定期間内
住宅建築用途

それぞれの条件について詳しくみてみるとしましょう。

 

指定建築会社

建築条件のない土地であれば、建築会社の制約はありません。自由に選ぶことができますが、指定建築会社の条件が設定されている場合、指定されている建築会社の一択です。

この場合、土地の販売者と建築会社が懇意にしており、建築会社を指定することで何らかの見返りを得ているケースが一般的です。

 

一定期間内

一定期間内、一般的には3カ月以内の建築を条件として付けている建築条件つき土地もあります。

この場合、いち早く土地を売却して現金化したい業者であるケースか、施工の予定が空いており、次の工期が始まる前に一件仕事を入れたい業者のケースが多いです。

前者の場合、売却することで土地の売却益を得ることができますが、土地が売却できなければ、高価な土地を保有していても現金にはなりません。

ましてや1月1日に所有していると固定資産税の支払い義務も生じます。

そのため、早く売却したい場合にこのような条件を付けています。

後者の場合、空いているスケジュールで建築を行えるのであれば建築会社としても多少安価ではあってもよいとの思いがあります。

建築会社にとって、「何もしない」は利益になりません。安価ではあっても仕事を入れた方が利益になると考えている場合、建築条件つき土地の条件を飲み、建築を手掛けます。

 

住宅建築用途

土地は法律によって用途の区分がありますが、区分内であれば所有者の自由です。マイホームを建てる自由もあれば、駐車場・アパートにして不動産所得をと考えるのも自由なら、タイミングを見計らって売却する自由もあります。

そこで、住宅建築用途に限定することで安価に抑える建築条件つきもあります。

 

建築条件つき土地のメリット

建築条件つき土地として下記が挙げられます。

・安い
ある程度選択肢がある
条件が合えばデメリット・リスクがない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

メリット1:安い

建築条件つき土地は条件が設定されていない土地と比較すると安価です。

マイホームの購入において考えるべき点は多々ありますが、予算のウェイトは大きなものです。その予算を安価に抑えられる点は、大きなメリットとなるでしょう。

なぜ安価に提供されているのかといえば、建築会社を指定するなど土地を取得してもらうことで「指定の建築会社で家を建ててもらう」ことが決まっているからです。

土地の売却者は土地の売却益だけではなく、建築会社からのマージンも期待できるため、相場より安価に設定しても、利益を確保できるためです。

 

メリット2:ある程度の選択肢がある

建築条件つき土地は建築会社が決められているケースが一般的ですが、建築会社への依頼はある程度選択肢があります。注文住宅並に自由なスタイルのマイホームを建築できる建築会社や、ある程度のパターンが用意されており、選べるパターンもあります。

ただし、指定されている建築会社によっては、自由度がないケースがあります。

詳しくは後述しますがあくまでも建築会社次第です。

 

メリット3:条件が合えばデメリット・リスクがない

建築にあたっての条件が設定されている建築条件つき土地ですが、条件が自らが描く理想のマイホームと合致していれば、安く入手できるだけでデメリット・リスクがありません。

 

建築条件つき土地のデメリット

建築条件つき土地にはメリットもあれば、下記のデメリットもあります。

・建築会社の選択肢がない
手付金が戻らない可能性がある
時間制限があるのでスピード感が求められる

これらについても詳しく解説します。

 

デメリット1:建築会社の選択肢がない

建築会社が指定されている建築条件つき土地では、建築会社の選択肢がありません。

そのため、どのような家を建てるかは建築会社次第です。

メリットの項では「ある程度自由がある」とお伝えしましたが、あくまでも「自由度のある建築会社であれば」であって、自由度のない建築会社が指定されている可能性もあります。

条件のない土地であれば、どの業者にすべきかは業者の特徴や家づくりのコンセプト・施工事例から自由に選ぶことができます。

しかし建築条件つき土地は業者が定められており、「理想と合わないから他の業者に」は不可能です。

 

デメリット2:手付金が戻らない可能性がある

家の建築を依頼する時には、正式契約締結後に手付金を支払います。

しかし建築条件つき土地の場合、契約条件次第では手付金が戻らないケースもあります。

手付金の相場は住宅購入代金の5~10%程度と、決して安い額ではありませんが、これだけの金額が戻ってこないリスクがあることも覚えておく必要があります。

 

デメリット3:時間制限があるのでスピード感が求められる

一般的に、建築条件つき土地は3カ月以内の建築を求められるとお伝えしましたが、3カ月という時間は一般的な家づくりよりもスピード感が求められます。

契約をまとめるだけではなく、内装・外装、間取りからカラーリング、素材などすべてを決めなければなりません。

自由度の低い建築業者が多いのもそのためです。お客の理想に耳を傾け、叶えようとしたら3カ月では時間が足りないでしょう。

家づくりにはどうしても時間がかかりますが、指定期間内にすべてを終えなければならないのです。余計なことをしている時間はないでしょう。

そのため、速さを優先して理想を捨てなければならないケースもあります。

 

建築条件つき土地はお得?損?

建築条件付き土地とはお得

建築条件つき土地に用意されている条件をまとめると「指定の建築業者で期間内に住宅を建てる」となります。

上記の条件が用意されている建築条件つきがお得か損かは、住宅ニーズ次第です。

例えば指定建築会社が、実は以前から興味があり、建築の依頼を検討していた建築会社であればお得です。スピーディーにマイホームをと考えている場合も、お得と考えてよいでしょう。

一方、指定の建築会社のこれまでの施工事例を見て、魅力を感じていない場合や明らかに自らが理想とするマイホームと、建築会社のコンセプトがかけ離れている場合、損だと感じてしまうでしょう。

このように、一概に建築条件つきの損得は語れません。

 

建築条件つき土地がお得になる人・向いている人

・建築条件が全く問題ない
家へのこだわりがさほど強くはない
安くマイホームを手に入れたい

条件が何ら苦ではない場合、「安いプラン」な感覚で選択できます。

家へのこだわりがさほど強くはなく、制約のあるプランでも妥協できる人、むしろ自分たちで決めるのが面倒でパッケージで提案してもらいたい人はお得です。

 

建築条件つき土地が損になる人・向いていない人

・マイホームには理想を追い求めたい人

端的に、マイホームにこだわりを持ち、安さではなく理想を追求したい人には向いていません。

理想を追求すると、3カ月で全てを決めることは現実的ではありません。しかし建築条件つき土地では一般的に3カ月以内の建築を求められます。

家にこだわりを持ち、細かい部分まで妥協したくない人は、建築条件つき土地は敬遠した方が良いでしょう。

 

建築条件つきを購入する時の注意点

メリットもあればデメリットもある建築条件つき土地ですが、実際に購入するにあたって注意すべき点があります。

 

注意点1:条件を精査する

建築条件つき土地の条件を紹介しましたが、あくまでも一般的なケースであり、細かい条件はそれぞれ異なります。

そのため、建築条件つき土地の購入を検討する場合、細かい条件まで精査しましょう。契約した後に「こんなはずじゃなかった」「聞いていない」と思っても、変更できません。

例えば指定されている建築会社については、公式ホームページでコンセプトや施工事例を調べるだけではなく、口コミ評判や実際に営業担当者と会って信頼できる業者なのかを判断しましょう。

スピード感が求められる建築条件つき土地では、営業マンとの相性も重要です。

少しでも違和感を覚える場合、無理に契約するのではなく見送る勇気も必要です。

 

注意点2:つなぎ融資の必要性を確認する

建築条件つき土地では、土地を先に購入するシステムです。そのため、土地購入の段階では住宅ローンを利用できません。

住宅ローンはあくまでも住宅建築のためのローンであり、土地取得のためのものではありません。

建築条件つき土地をローンでと考えている場合、土地代を支払う際につなぎ融資を利用することになります。流れとしては下記になります。

・つなぎ融資で土地代を借りる
住宅完成後に住宅ローンを借りる
住宅ローンで土地代を完済させる

このような流れとなるため、つなぎ融資が必要になるのか、必要であればつなぎ融資を取り扱っている金融機関もリストアップしておく必要があります。

土地代と住宅建築をそれぞれローンで借りる「二本立て」もありますが、この場合、手数料・印紙代がそれぞれに必要となります。

 

注意点3:建築条件つき土地購入者の事例を確認する

建築条件つき土地購入者の事例・口コミをチェックし、自分自身に向いているのかを確認しましょう。

建築条件つき土地の情報の中でも、建築条件つき土地購入者の体験は貴重な情報です。

・SNS
不動産情報専門サイト
・不動産屋によるOB紹介

上記の方法で建築条件つき土地購入者の声に耳を傾け、どのような苦労が待っているのか、本当に得なのか、自分自身にマッチした方法なのかなど、細かい部分までチェックしてみましょう。

 

建築条件つき土地のよくあるQ&A

ここでは建築条件つき土地のよくある質問をQ&A型式でまとめました。

Q.建築条件つき土地って違法じゃないの?

A.合法です。建築条件つき土地の販売・購入いずれも法律的に全く問題ありません。「条件つき」の文言から、違法、あるいはグレーゾーンを創造する方もいるようですが、違法性は全くありません。

 

Q.建築条件つき土地は値引きできる?

A.現実的に値引きは難しいでしょう。建築条件つき土地が値引きの余地がないほど安価で販売しているため、更なる値引きを獲得することは難しいです。ただし販売会社次第なので、値引きの余地がないのかくらいは尋ねてみても良いでしょう。

 

Q.建築条件つき土地の土地の条件は外すことができる?

A.販売会社次第です。外すことはほぼありませんが、販売会社への問い合わせが少ない時には、条件を外すケースもあります。ただし、条件が外れると価格が高くなり、結局は「土地を普通に購入する」となってしまうこともあります。

 

Q.建築条件つき土地の仲介手数料は?

A.建築条件つき土地も土地売買で、仲介する会社が存在するものなので仲介手数料が発生します。

 

Q.建築条件つき土地はどうやって探せばよいの?

A.一般的な不動産同様、不動産屋で売りに出されています。建築条件つき土地だけを狙っているのであれば、不動産屋に「建築条件つき土地はないのか」を確認してみましょう。ただし、建築条件つき土地そのものが少ないことから、建築条件つき土地を扱っている不動産屋は少ないです。

 

まとめ

まとめ

建築条件つき土地について、様々な点から解説させていただきました。

メリットもあればデメリットもあります。そのため、一概に損得を論じることはできませんが、デメリット面がさほど気にならず、かつメリット面に魅力を感じているのであれば、マイホーム購入の選択肢の一つとして建築条件つき土地を検討してみるのもよいでしょう。

 

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