カーポートと固定資産税の関係性を解説!課税されないカーポートの条件とは

不動産を所有していると固定資産税を納める必要がありますが、カーポートにも固定資産税は課税されるのでしょうか。

本記事では、そもそも固定資産税とはどういった税金なのかといった点から、固定資産税が課税される条件、課税されないカーポートの条件などご紹介していきます。

カーポートなど車庫の建築を検討しており、固定資産税が課税されるかどうか気になるといった方は、本記事の内容を参考になさってください。

 

固定資産税とは?

本記事ではカーポートと固定資産税の関係性についてお伝えしていきますが、そもそも固定資産税とはどのようなものなのでしょうか。

ここでは、以下の項目に沿って解説していきます。

・そもそも固定資産税とは

・固定資産税の計算方法

・固定資産税の課税条件

それぞれ見ていきましょう。

 

そもそも固定資産税とは

固定資産税は、不動産を所有している人に毎年課される税金です。

不動産を所有し続ける限り、毎年支払い続けなければなりません。

また、不動産が市街化区域内にある場合には、固定資産税と併せて都市計画税も納める必要があります。

固定資産税は、毎年5月~6月頃に、お住まいの自治体から納付書が送られてきて、その納付書を用いて納付します。

なお、納付書は4回に分けられており、例えば東京都であれば6月・9月・12月・2月が納期限です。

ちなみに、自治体によってはクレジットカードや口座振替での納付も可能です。

 

固定資産税の計算方法

固定資産税は、毎年1月1日時点の固定資産税評価額に基づいて課税額が決められます。

具体的な固定資産税の計算方法は以下の通りです。

納税額=固定資産税評価額✕税率(1.4%)

なお、固定資産税の基本税率は1.4%ですが、自治体次第で変更できることになっています。

ちなみに、マイホームやアパートなど居住用の建物が建つ土地であれば、「住宅用地の特例」の適用を受けることが出来ます。

この特例の適用を受けることで、200㎡までの部分について課税額を1/6に、200㎡超の部分について課税額を1/3にすることが可能です。

また、新築一戸建ての場合は、建物部分の固定資産税が、新築から3年間1/2(RC造マンションなどの場合は5年間)にできる特例もあります。

 

固定資産税の課税条件

固定資産税は不動産等建物に課税させる税金ですが、具体的にどのような課税条件があるのでしょうか。

固定資産税において、課税される条件としては以下のようなものがあります。

・定着性

・外気分断性

・用途性

まずは、建物が土地に定着しているかどうか、という点です。

例えば、土地に基礎が建築され、基礎の上に建てられている建物などは固定資産税の課税対象となるでしょう。

一方で、基礎がつけられておらず、移動可能な物置などは定着性がなく、固定資産税の課税対象とならない可能性があります。

次に、外気分断性とは建物の室内が外気と分断されているか、という点です。

例えば、LDKから掃き出し窓で外に出られるものの、屋根だけつけたウッドデッキなどは固定資産税の課税対象外となる可能性が高いでしょう。

一方、壁と屋根をつけたサンルームといった形で施工すると、外気分断性があり、固定資産税の課税対象となりやすいです。

最後の用途性とは、建物が建てられた目的に応じて利用できる状態になっているかというもので、例えば駐車場としての用途で建てられた建物が、その用途で使われている場合には、建物として判断されることになります。

 

カーポートに固定資産税は課税される?

固定資産税の意味や課税される条件についてお伝えしましたが、カーポートに固定資産税は課税されるのでしょうか。

ここでは、以下項目に沿って解説していきます。

・原則課税されない

・課税されるケース

・課税されないケース

それぞれ見ていきましょう。

 

原則課税されない

原則として、カーポートには課税されません。

そもそもカーポートは柱と屋根で構成された車庫です。

先程ご紹介した、固定資産税が課税される条件から見てみると、最も大きいのは外気分断性でしょう。

壁などで空間が遮られていないため、基本的に建物と見なされません。

このため、一般的な形のカーポートであれば固定資産税は課されないのです。

ただし、例外として課税される可能性が高いものもあります。

以下で、カーポートに固定資産税が課税される可能性があるケースと、されない可能性が高いケースについて見ていきましょう。

 

課税されるケース

カーポートに固定資産税が課税されるケースとしては、例えばカーポートが壁のようなもので覆われていて、シャッターがついているようなケースが考えられるでしょう。

最終的に、課税対象となるかならないかについては自治体や、その担当者によって判断が分かれる可能性があります。

 

課税されないケース

一方、課税されない可能性が高いケースとしては、壁のようなもので覆われておらず、シャッターがついていないケースが考えられます。

基本的に、一般的なカーポートであれば固定資産税は課税されません。

そのうえで、特に外気分断性の部分がポイントになると考えるとよいでしょう。

 

ガレージには固定資産税が課税される?

カーポートと似たものにガレージがありますが、ガレージには固定資産税は課税されるのでしょうか。

ここでは、以下の項目に沿って解説していきます。

・カーポートとガレージとの違い

・ガレージは原則課税される

・ガレージと固定資産税が課税されないための抜け道

それぞれ見ていきましょう。

 

カーポートとガレージの違い

そもそも、カーポートとガレージはどのような違いがあるのでしょうか。

カーポートは柱と屋根で構成された車庫のことです。

一方、ガレージは屋根と壁で3方向以上を覆われている車庫で、簡易的な車庫であるカーポートと比べると本格的な車庫だということができるでしょう。

なお、ガレージにはガレージのために建築物として建てるケースと、戸建て住宅の中にガレージを作るビルドインガレージがあります。

 

ガレージは原則課税される

ガレージは3方向を壁や屋根で覆われているため、固定資産税課税のための条件を満たす可能性が高く、一般的なガレージであれば固定資産税が課税されると考える必要があります。

特にビルドインガレージの場合には、戸建て住宅の中にガレージがある形であり、土地の定着性の部分についても確実に満たすため、課税対象となります。

ガレージのためにプレハブ小屋を建てたり、コンテナをガレージとしたりするようなケースでは、土地の定着性の部分で建物と判断されないケースもあり、自治体や担当者の判断次第では固定資産税が課されない可能性もあります。

 

ガレージに固定資産税が課税されないための抜け道

原則として、ガレージには固定資産税が課されますが、固定資産税が課税されないための抜け道はあるのでしょうか。

この点、法に違反せずに固定資産税を課税されない抜け道については、基本的にないと考えたほうがよいでしょう。

例えば、固定資産税の調査については建物を建てたタイミングなどで、自治体の担当者が家にやってきて、調査が行われます。

このときにガレージがなく、調査の後にガレージを建てたようなケースでは、自治体にバレない限り固定資産税が課税されずに済むでしょう。

とはいえ、基本的にはガレージのような建築物を建てるためには建築確認申請を出さなければなりません。

建築確認申請を出した時点で、ガレージを建築したことが自治体にバレるため、結局固定資産税が課されることになります。

固定資産税を課されるのを避けるために確認申請を出さずに建てたような場合、違反建築物となり、後で撤去命令が出される可能性もある点には注意が必要です。

 

カーポートを設置する際の注意点

カーポートを設置する際には、どのような点に注意するとよいのでしょうか。

ここでは、以下3つをご紹介します。

・建ぺい率に算入される

・建築確認が必要になるケースがある

・隣地境界線から距離を取る必要がある

それぞれ見ていきましょう。

 

建ぺい率に算入される

カーポートは原則、固定資産税は課税されませんが、建ぺい率には参入されます。

建ぺい率とは、土地に対する建築物の水平投影面積のことで、簡単にいうと、土地を上から見たときに建物が占める割合のことだと考えるとよいでしょう。

土地に建物を建てる際、50%~80%などエリアごとに定められた建ぺい率の上限以下になるよう、建物を建築しなければなりません。

建ぺい率の計算上、建築物は「土地に定着する工作物で、屋根と柱で構成されるもの」とされており、カーポートもこの条件を満たします。

なお、カーポートについては、以下の条件を満たすことで緩和を受けることができます。

・天井の高さ1m以上

上記条件を満たすことで、「すべての辺の端から1m後退した部分」を建ぺい率の計算上、建築面積として算出することが可能です。

 

建築確認が必要になるケースがある

建築基準法上、柱と屋根で構成された工作物は建築物と見なされます。

このため、カーポートについても建築物と見なされ、以下の条件を満たすと建築確認を申請しなければなりません。

・防火地域か準防火地域にある

一般的なサイズのカーポートであれば、1台分のカーポートであれば申請しなくてもよい可能性がありますが、2台分のカーポートであればほとんどの場合で申請が必要になるでしょう。

 

隣地境界線から距離を取る必要がある

カーポートを建てる際、隣地境界線からの距離に注意が必要です。

すでにお伝えしている通り、建築基準法では、柱と屋根で構成された工作物は建築物と見なされます。

このため、カーポートも建築物であり、通常の住宅と同様に扱わなければなりません。

このため、隣地境界線からの距離について注意が必要です。

民法では、隣地境界線からの距離を50cm以上確保しなければならないことが決められています。

戸建て住宅であれば、隣地との距離を確保しなければならないことは理解しやすいですが、壁のないカーポートについても距離確保しなければならないことは失念しやすい点となるため、注意が必要です。

なお、隣地からの距離については、民法以外に条例などで30cmとするケースや、1m以上確保しなければならないケースなどもあります。

 

カーポートと固定資産税に関するよくある質問

最後に、カーポートと固定資産税に関するよくある質問と回答をご紹介します。

 

カーポートを後付けすると固定資産税は課税されない?

ガレージについて、住宅が完成し、固定資産税の調査が終わった後に建築することについてお伝えしました。

通常、ガレージは建築確認申請が必要になるため、この方法で固定資産税を避ける方法はできません。

一方、カーポートであれば建築確認申請が不要なケースもあるため、後付けすることでバレないようにすることは理論上は可能でしょう。

とはいえ、そもそも原則としてカーポートは固定資産税が課税されません。

わざわざ固定資産税の課税を避けるために後付けにする必要もないでしょう。

 

固定資産税の課税を避けたカーポートは後でバレる?

上記の手法で、本来であれば固定資産税が課税されるカーポートを、後付けするなどして課税を避けた場合、後でバレるものなのなのでしょうか。

この点、カーポートであっても一定の要件を満たせば確定申告が必要です。

固定資産税が課税される条件を満たすようなカーポートであれば、建築確認申請が必要な大きさである可能性も高いでしょう。

このため、まず建築確認申請時にバレる可能性が高いといえます。

また、建築確認申請不要であったとしても、自治体の担当者が調査を行う中で、課税されていない建築物があることが分かった場合、後で固定資産税が課される可能性があります。

万が一、建築確認申請が必要なのにも関わらず、申請をせずに建築していたような場合には、撤去命令が出される可能性がある点には注意しなければなりません。

いずれにせよ、違反となる抜け道など模索するのではなく、納税が必要なのであればしっかり納税するといった意識が大切です。

 

まとめ

まとめ

カーポートと固定資産税の関係について、固定資産税が課税される条件や、課税される可能性があるカーポート、課税されないカーポートとガレージとの違いなどご紹介しました。

基本的に、カーポートは固定資産税が課税されませんが、壁やシャッターなどをつけた場合には課税対象になってしまう可能性があります。

また、カーポートと似たものにガレージがありますが、ガレージになると原則として固定資産税の課税対象となります。

カーポートのような車庫の建築を考えている場合は、どのような車庫を建てればよいのかなど本記事でご紹介した固定資産税の課税条件を参考になさってください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マガジン一覧