ホームインスペクションとは?相場や業者に依頼する際のポイントも解説

自分が所有する不動産にどれくらいの価値があるのか、売却を検討しているなら気になる点でしょう。

不動産を高額で売却するには、購入者が安心して暮らせる住宅であることを明らかにしておく必要があります。

ホームインスペクションを受けて、トラブルやリスクがない不動産であることを証明しましょう。

本記事では、ホームインスペクションとは、その目的やメリット・デメリットと費用について解説します。

 

ホームインスペクションとは

ホームインスペクションは、ホームインスペクターと呼ばれる専門家によっておこなわれる住宅診断のことです。

専門家の見地から、不動産の劣化や老化状況をチェックし、改修が必要な箇所の特徴や費用のアドバイスなどもおこないます。

ホームインスペクターは、住宅の専門医といっていいでしょう。

不動産購入や売買において、ホームインスペクションをおこなうことは、重要な意味を持っています。

なぜなら、住宅のコンディションを把握できるだけでなく、売買取引を安心しておこなえるようになるからです。

米国では、ホームインスペクションが常識となるくらいに広がっており、国内では中古住宅取引の際に説明義務が科せられました。

診断方法は、屋根や外壁だけでなく、室内や床下などを目視で診断します。

 

ホームインスペクションをする目的

不動産売買時のトラブルを防止し、売買をスムーズに終わらせるために、ホームインスペクションがおこなわれます。

専門家の調査によって、持ち主が気付かない細かい欠陥が発見されることがあります。

売却後の不具合はトラブルのもとになりますし、住み慣れた家を最適な状態で引き渡すことも売主の仕事です。

トラブル防止だけでなく、売主が信頼できる相手であると証明するためにも、ホームインスペクションは大切です。

 

専門家による細かい調査

ホームインスペクションは、専門家目線でおこなわれるため、より細かい部分まで調査されます。

外壁や屋根、排水管や給湯管に床下など、普段はチェックしたり目にしたりしない場所まで調べるのが一般的です。

基本は目視で住宅全体の劣化具合を確認しますが、場合によっては機械を使って調べることもあります。

売却前に売主がおこなうのが一般的ですが、買主が依頼するのも可能です。

一戸建ては約2〜5時間程度、マンションは1.5〜2.5時間程度で調査が終わります。

 

ホームインスペクションの検査項目

ホームインスペクションの検査項目は、依頼する会社によって違いがあります。

基本的な項目は以下の通りになるためご覧ください。

 

不動産種類 構造耐力上の主要部分 雨水の侵入を防止する部分
一戸建て 基礎、土台、梁、柱、小屋組、内壁、床など 天井、屋根、外壁、開口部など
マンション・アパート 基礎、基礎杭、壁、床など 屋根、外壁、開口部、配水管など

築年数が経過した住宅の場合、家の傾きや鉄筋の状態も調査が必要です。

機械を使った調査は、上記の基本調査とは別料金となります。

追加の調査をすると、後々のトラブルを予防できるため検討してください。

 

法改正により注目されるホームインスペクション

2018年4月に宅地建物取引業法の一部が改正されました。

中古住宅の品質は物件によって差があるため、買主は売買に不安を抱えています。

ホームインスペクションを担当する業者によって、検査基準や技術力には差があり、一定ではないことも問題視されてきました。

そこで不動産会社に対し、ホームインスペクションの調査結果報告と説明が義務化となります。

検査方法や注意事項を示すことで、ホームインスペクションを安心して利用できるようになりました。

2020年4月の民法改正後は、さらにホームインスペクションが重要視されています。

ホームインスペクションは義務ではありませんが、利用することにより、売却後のトラブルを防ぐことが可能です。

早期売却や高額でも取引を希望する買主は、積極的なホームインスペクションをおすすめします。

 

ホームインスペクションをするメリット

安全に不動産を売買するためだけでなく、買主が安心して購入できるようなエビデンスをアピールします。

どのようなメリットがあるのか、売主と買主に分けて詳しく説明します。

 

売主側

ホームインスペクションを受けた物件は、自分が気付かなかった不具合に気付けます。

状態によっては修繕工事を検討し、売却しやすい状態にもできます。

もちろん、軽い不具合であれば修繕しないまま、事実を報告して購入者を探すことも可能です。

建築士などのプロが調査した事実を報告書にまとめることにより、安心して購入できる物件であるとアピールできます。

報告書があれば、言いにくい住宅の状態を不動産会社が買主に伝えてくれます。

ホームインスペクションは義務ではないため、必ずしも受ける必要はありません。

しかしながら、検査済み物件と比較すると売れにくくなるのが現状です。

不具合が発見された場合には、適切な修繕をおこない、高額売却へつなげることが可能です。

ホームインスペクションをおこなうことで、売主の信頼性も高くなるため、売買契約後に大きなトラブルになることもありません。

 

買主側

ホームインスペクションがおこなわれている中古住宅は、欠陥や劣化を正確に把握できます。

住宅の状態をプロの検査で知ることによって、修繕の必要な箇所がわかるため、今後のリフォームやメンテナンス計画がたてやすくなるはずです。

調査結果をもとにしてメンテナンスをすれば、必要な修繕を適切な時期におこなえますから、快適に過ごせます。

計画的なメンテナンスやリフォームがおこなえるため、無駄な費用を使うこともありません。

売主への信頼感も強くなりますし、調査結果があれば確認したい点も聞きやすくなります。

 

ホームインスペクションをするデメリット

不動産売買では信頼関係がもっとも重要になり、ホームインスペクション済みの住宅は売買に安心感があります。

しかしながら、専門的な調査には時間がかかります。

物件の状態によりますが、数日かかることもあり費用が高額になるケースも少なくはありません。

ホームインスペクションは専門家によっておこなわれる調査ですが、目視が基本のため、床を外したり壁を壊したりの調査はできません。

そのため、十分な検査をおこなえず、売却後に不具合が見つかるケースもあります。

点検口が適切に設置されていない物件は、購入後にトラブルが起こる可能性があることも頭に入れておきましょう。

 

ホームインスペクションにかかる費用相場

一戸建てとマンションでは、ホームインスペクションの検査項目が異なります。

面積や地域によっても違いがあるため、一戸建てとマンションそれぞれにかかる費用相場を説明します。

 

一戸建て

一戸建ては、新築であれば基本調査5万円〜7万円程度、中古の場合には4〜6万円となります。

調査対象となるのは、建物の基礎や外壁・屋根などの外部と床や壁・天井、その他の設備です。

新築の場合は、工事中でしか確認できないポイントを専門家が検査する新築工事中と完成後のホームインスペクションがおこなえます。

新築工事中におこなえば、早期に不具合を発見し適切な対処ができますが、検査回数が増えてしまうと、費用が高額になるため注意しましょう。

相場は30万〜65万円程度と高額です。

中古一戸建ての場合、宅建業法に基づく建物状況調査がおこなわれます。

坪数が大きな物件や過去に修復工事をおこなっている場合、基本調査に3万円程度の追加で詳細な検査ができます。

築年数が経過している物件は、シロアリやカビ被害がないかだけでなく耐震診断も必要です。

物件が遠方であったり、大がかりな調査が必要になったりすると、出張費として交通費などが月かれるケースもあります。

 

マンション

マンションのホームインスペクション料金は、中古の建物状況調査であれば4万〜6万程度、新築の内覧会同行で4〜9万円が相場です。

一般的には宅建業法に基づく状況調査となり、外観や内装はもちろんですが、バルコニーや共用廊下にコンクリート圧縮強度・各給排水管路・設備が検査されます。

ひび割れやコンクリートの劣化の有無、水漏れがないかなど、細かい項目が調査されます。

状態によっては機械を使って検査がおこなわれることもあり、相場に調査費がプラスされるケースもあるようです。

 

オプションにより追加費用が発生

目視では判断できない専門的な調査が必要な場合、機材を使用するためオプション費用が発生します。

一般的には屋根や外壁は目視できる範囲でおこない、基礎・室内の床・壁・天井・住宅設備・建具が対象で、床下や屋根裏についてはオプション調査です。

住宅の構造上、点検口はあっても構造上目視ができなかったり、進入できなかったりするのが理由となります。

基礎鉄筋探査やコンクリート圧縮強度試験、設備配管の調査、高所調査などです。

これらに関しては、調査の目的と必要性を明確にして、費用を含めて検討してください。

床下や屋根裏が基本料金に含まれている場合、相場より高額になっていないか、進入できず調査を中止したときに費用はどうなるのかを確認しておくとよいでしょう。

 

ホームインスペクションを業者に依頼する際の3つのポイント

ホームインスペクションは、住宅の状態によってかかる費用が異なります。

不動産売却を成功させるには、ホームインスペクションが正確で信頼性がなければいけません。

ここでは、ホームインスペクションを依頼する場合に押さえておきたいポイントを紹介します。

 

会社の実績や経験を調べる

不動産会社やリフォーム会社にインスペクション専門業者、資格を持った会社であれば同じように調査を依頼できます。

専門知識があれば、どこでもいいのではないか?と思われるかもしれませんが、重要なのは「経験や実績があるか」です。

ネームバリューがある、価格が安いなどで決めてしまうと、希望する調査がおこなわれなかったり、必要のないリフォームを勧められたりするケースもあります。

売却したい不動産と似た物件の調査経験があるのか、経験豊富で実績のあるホームインスペクターが在籍するかも確認しましょう。

ホームインスペクターによって、診断に必要な知識量や技術力は異なります。

どのような物件の検査が多く評判はどうなのか、経験や実績があるかを重視して適切な診断ができる会社を選びましょう。

 

細かい所まで説明してくれる

ホームインスペクションは住宅の健康診断であるため、どこまで調査が必要なのか、その理由について丁寧に説明してくれるかを確認しましょう。

検査内容についての説明も、専門用語などは使わずに、わかりやすく名増してくれるのかも重視してください。

説明がわかりにくい、何度も聞き返さなければならない担当者では、ホームインスペクションを受けても信頼できません。

どのような技術力を持っていても、コミュニケーションが取れない、説明がわかりにくいようでは、今後の取引に影響が出てしまいます。

的確に詳細な説明ができるのか、対応に信頼性が持てる会社を選びましょう。

 

費用が相場と変わらない

ホームインスペクションには費用がかかりますが、基本料金相場が高すぎたり安すぎたりする会社には注意しましょう。

相場よりも高額な場合には、必要ない調査を基本料金のなかに組み込んでいるケースもあります。

基本調査にどこまで含まれているのか、売却物件に必要な調査かどうかを見極めることです。

経験豊富なインスペクターがいる会社であれば、適切な診断料金が設定されており、オプションなども説明があります。

相場よりも安すぎる会社は、診断後に修繕工事やリフォームを勧められる場合もあるため、注意してください。

 

ホームインスペクションと瑕疵保険の検査の違い

ホームインスペクションと瑕疵保険は、同じように思えますが検査の目的が異なります。

中古住宅とはいえ、目立つような大きな傷や故障があると売却が難しくなります。

このような不具合を瑕疵と呼んでおり、購入後に発見されトラブルにならないように加入するのが瑕疵保険です。

定められている範囲であれば、見つかった瑕疵は補償されます。

保険に加入するための基準を満たしているかを調べ確認するのが瑕疵保険の目的であり、第三者目線で住宅を客観的に調査するのがホームインスペクションです。

 

ホームインスペクションは自分でできるのか

基本調査であれば、道具を使って自分で検査できるのではないかと思われた方もいるのではないでしょうか。

自分が中古住宅を購入する立場であったら、売主に「大した問題はありません」といわれて

納得できる方はいないはずです。

ホームインスペクションは、住宅に関する知識だけでなく経験が必要な調査で、簡単におこなえるものではありません。

節約のために自分でやる場合には、住宅についての知識やホームインスペクションの検査について勉強する必要があります。

実際に自分でおこなったとしても、検査漏れがあったり正確性に欠けたりすると、相手に説明する実際の安全・安心のエビデンスにはなりません。

安心して暮らすためにも、専門家に依頼し正確な調査をおこないましょう。

 

まとめ

ホームインスペクションは、住宅購入時の判断材料になるため、第三者による公正な判断が求められます。

義務ではないため必ずしも売主がおこなう必要はありませんが、高額で売却したいのであれば、中立性な目線での検査は必要でしょう。

不動産会社で紹介されることもありますが、できれば自ら業者を探して依頼してください。

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