マイホームの購入を検討している人の大半は住宅ローンを組むのではないでしょうか。
そこで気になるのが、住宅ローンを組むのに年齢制限があるかどうかです。
本記事では住宅ローンを組むのに年齢制限があるのかどうか、また年齢別に注意すべきポイントは何かを解説しています。
目次
住宅ローンの提供主体別種類と金利タイプ
まず、住宅ローンとは、居住目的を条件として戸建てやマンションなどの物件を購入する際に利用できる住宅ローンのことです。
金融機関によってはセカンドハウスの購入を希望されている方にも利用できる場合があります。
借り入れた住宅ローンの借り換えも可能ですが、店舗や事務所の新築・投資用不動産の購入には利用不可です。
住宅ローンは、公的融資・民間融資・フラット35の3種類があります。
公的融資とは、自治体融資や独立行政法人勤労退職金共済機構の財形持家転貸融資、住宅金融機構の財形住宅融資などがあります。
民間融資は、銀行や信用金庫、ネット銀行、労働金庫、農協などの民間金融機関が提供しています。
フラット35は、民間融資の一種で住宅金融支援機構と提携して提供している固定金利型の住宅ローンです。
また、住宅ローンには、「固定金利型」・「変動金利型」・「固定金利期間選択型」の3パターンがあります。
固定金利型は、返済期間中の金利が変動しない金利タイプです。
金利が変動変動しないため、月々の返済が確定しておりローン返済の計画が立てやすいです。
変動金利は一定期間ごとに金利の見直しが行われて、金利が変動するタイプです。
他の金利タイプよりも金利が低いことが多いため、返済の負担が少なく、返済総額が少なくて住む可能性もあります。
固定金利期間選択型は、住宅ローンを借り入れた当初一定期間の金利を固定する金利タイプのことです。
全期間固定金利よりも低金利であることが多いため、月々の返済の負担を少なくできます。
このように、それぞれのタイプによって特徴があります。
どれを選ぶかは、これからの家族のライフプランや返済計画に関わってくるため、特徴や注意点などをしっかりと学んで選ぶことが重要です。
住宅ローンの年齢制限は金融機関によって条件が設けられている
住宅ローンの利用は金融機関ごとに年齢制限が設けられています。
詳しくは住宅ローンを検討している金融機関への問い合わせが必要ですが、大体一般的に20歳〜70歳までの年齢の人が利用ができるようです。
完済時の年齢と借入期間を確認しよう
ただ、たとえ70歳まで住宅ローンの申し込みができたとしても、高齢で住宅ローンを組む場合には注意しなければならないことがあります。
それは、完済時の年齢と借入期間です。
完済時の年齢は、大体80歳までと金融機関では決められています。
ですので、35年で住宅ローンを組みたくても、完済時の年齢が80歳を超える場合は借入ができない可能性もあるということです。
35年ローンを組みたい場合は、45歳であればギリギリ間に合いますが、年齢が高ければ高いほど住宅ローンの審査が厳しくなります。
年齢によっては団体信用生命保険に加入できない可能性もある
団体信用生命保険とは、住宅ローンの債務者が死亡した場合に住宅ローンの残高が0円になる生命保険のことです。
住宅ローンを組む場合、原則として団体信用生命保険に加入しなければなりません。
団体信用生命保険は、加入希望者の健康状態などを元に審査されますが、高齢の場合、直近で大きな病気をしていたなどの告知があると加入できない可能性もあります。
団体信用生命保険に加入できず住宅ローンが利用できないということ自体になる恐れがあるのです。
フラット35の場合であれば、団体信用生命保険に加入せずに利用が可能ですが、万が一死亡した場合、住宅ローンを家族に返済してもらわなければならない事態となります。
銀行は年収より年齢を重視して住宅ローン審査をしている
国土交通省住宅局の調査によると、住宅ローンの借入審査では年収より借入時年齢と完済時年齢を重視して審査されていることがわかりました。
このことからも、高齢の方が住宅ローンの審査を通るのが難しいということがわかります。
住宅ローンの利用者の5割以上は30代で、全年代の中で最も多い比率です。
ただ、定年年齢が伸びていることもあり、40代以降で住宅ローンを利用している人が増えています。
平均的な返済期間は、分譲戸建住宅・分譲マンションともに35年以上が約7割です。
住宅ローンは早めに組む方がメリットが多い
住宅ローンを早めに組むことのメリットには以下のような点が挙げられます。
・返済期間を長く取れるので、無理なく月々の返済ができる
・月々の返済が抑えられるため教育費や老後資金も貯めやすくなる
・賃貸から持ち家になるため、一生涯で見たときに家賃負担が減らせる
上記のように、月々の負担を減らすだけでなく一生涯で見た時に家賃負担を減らせたり、教育費や老後資金も貯めやすくなるなどのメリットがあります。
65歳までに住宅ローンを完済する方が良い理由は?
住宅ローンは早めに組んで65歳までに完済する方が良いとされています。
その理由 は3つあるので解説していきます。
定年退職後の返済負担を無くせる
定年後の収入は、バリバリ現役で働いていた頃よりも減る可能性が高いです。
そのため、定年後も住宅ローンの支払いが続いていると、月々の返済で生活が苦しくなる可能性もあります。
例え退職金で一括返済を考えていても、会社の業績によっては退職金があまり支給されないという恐れもあるでしょう。
定年後も安心して生活したいなら、65歳までに住宅ローンを完済するつもりで、申し込みをすることが重要です。
年齢が若い時の方が住宅ローン審査を通過しやすくなる
住宅ローンを借り入れるためには、原則として団体信用生命保険に加入しなければなりません。
しかし、高齢になると審査が通りにくくなるため、団体信用生命保険に加入できない恐れもあります。
年齢が若い時の方が、団体信用生命保険には加入しやすいため、住宅ローンの審査も通過しやすくなります。
年金の受給開始年齢が伸びても返済負担がかからなくなる
現在の年金の受け取りは原則として65歳からです。
しかし、今後受給開始年齢が70歳、75歳と延びる可能性もあります。
年金の受給が遅れるとその分、生活のために貯蓄をしなければなりません。
さらに住宅ローンも重なると、月々の出費がかさんで負担が大きくなるでしょう。
65歳までに住宅ローンを完済すれば、たとえ年金の受給開始年齢が伸びても返済負担がかからずに済みます。
住宅ローンを組む場合の年齢別で考えられる注意点
住宅ローンを借りる場合の年齢別での注意事項を見ていきましょう。
20代は希望額を借入できない可能性がある
まず20代の場合、住宅ローンの完済時年齢までに十分な時間が確保できるので、長くローンを組むことが可能です。
しかし、20代は社会人になって10年も満たない人が多いです。
そのため、勤続年数が短く年収も少ないことから、希望する借入金額で十分にお金を借りられない場合があります。
その場合、頭金を多めに支払うなどして住宅を購入しなければなりません。
30代の子育て世帯は教育費の負担も重なる
20代と同様、30代も比較的住宅ローンの完済時年齢まで余裕があるので長くローンを組むことが可能です。
そのため、毎月の返済額を抑えて無理のない返済計画を立てられます。
ただ、30代は子どもを出産するなどライフプランの変化も多い年代です。
子どもの教育費の積立もしないといけないため、住宅ローンを組む際には教育費貯金との両立をしなければなりません。
40代は完済時の年齢に注意
40代も比較的長く借入期間を設けられるので、月々の返済額を抑えることが可能です。
ある程度の自己資金があるのであれば、頭金を少し多めに割り当てて、ローン返済の負担を減らすこともできます。
ただ、35年ローンを組んだ時に完済時年齢が75歳以上になる可能性があります。
また、子どものいるご家庭だと、中学・高校・大学と教育費が多くかかってくる時期のため、教育費を確保しつつローン返済をしていかなければなりません。
また、老後の資金も徐々に積み立てていけるように資金計画を練ることも大切です。
50代は借入金額が少なくなる可能性がある
50代で住宅ローンを借りる場合、完済時年齢までの期間が短くなるため借入可能金額が少なくなります。
また、35年ローンを組めないため、月々の返済額が大きくなってしまい、家計に大きな負担がかかります。
会社の退職金で住宅ローンの残債を一括返済する予定の場合、老後の資金が足りなくならないように注意しなければなりません。
60代はしっかりとした資金計画を
60代で住宅ローンを組む場合は、しっかりとした資金計画が特に必要です。
多くの方は年金での住宅ローン返済をすることとなります。
そのため、どのくらいの年金が受給できるのかをしっかりと確認した上で、月々どのくらいの金額を返済に充てられるのかを計画しなければなりません。
賃貸と違い、住宅ローンは完済すれば毎月の支出が大きく減らされます。
しかし、定年を迎えたあとに住宅ローンを組むとそのメリットが生かされなくなるため、高齢で住宅ローンを組む場合は慎重にならなければなりません。
年齢関わらず住宅ローンを組む場合の注意点
住宅ローンを組むためには、まず審査を通過しなければなりません。
しかし、審査を通過しても無計画にお金を借りると、返済で毎月の生活が苦しむ可能性もあるため、年齢に関わらず慎重に返済計画を立てなけえればなりません。
ここからは年齢に関わらず住宅ローンを組む場合の注意点を見ていきましょう。
無理のない返済計画を考える
まずは無理のない返済計画を考えることです。
住宅ローンで借入できる金額は、単なる借入可能な上限金額であって毎月無理なく返済できる金額というわけではありません。
20・30代のように若い方だと長期返済で多額の住宅ローンを組むこともできますが、その分返済が大変になる可能性もあります。
世帯の収入や貯蓄の状況を考慮した上で、無理なく返済できるように返済計画を立てましょう。
一般的には、手取り収入の20%程度が理想的な金額です。
住宅ローン・教育費・老後資金を考える
人生に必要な資金には、住宅ローンの他に子どものための教育費、自分たちの老後資金もあります。
子どもに必要な教育費は、1人あたり約1,000万円です。
ただし、これは全ての学校を公立に通わせた場合なので、私立の学校に通う場合はこれ以上に資金が必要になってきます。
老後に必要な資金は、以前までは2,000万円と言われていましたが近年の物価高騰の影響もあり、夫婦で3,000万は必要といわれています。
このようにゆとりある人生を過ごすためにも、様々なことでお金が必要になってきます。
子どもの教育費や老後資金を考えた上で、どのくらいを住宅ローンに充てられるのかを考えてみましょう。
頭金をどのくらい出すかを考える
頭金を多く支払うことで、住宅ローンの支払いの負担を少し減らせます。
ただ、頭金を支払うということは手持ちの資金が少なくなってしまうということです。
手持ちが少なくなると、万が一の怪我や病気などの時にも不安です。
ある程度は手元に残した上で、住宅ローンを借りるようにしましょう。
住宅ローンは金利の低さだけで選ばない
住宅ローンには、変動金利型や固定金利型など様々なプランがあります。
変動金利は固定金利よりも金利が低いですが、金利の見直しによって金利が変動するため月々の返済プランが立てにくく感じる人もいるかもしれません。
わかりやすい返済計画を立てたいという方は、少し金利が高いですが全期間固定金利型がおすすめです。
金利の低さだけで住宅ローンを選ばずに、自分にとってわかりやすい返済計画を立てるにはどうすれば良いかも考えた上で選びましょう。
変動金利や固定金利のメリットや注意点が知りたい方は、借入を検討している金融機関に詳しく相談してみることをおすすめします。
住宅ローンの負担を軽くするためには?
長い住宅ローンの返済の負担を少しでも軽くするためには、無理のない返済計画を立てる必要があります。
返済負担を軽くするための手段を解説していきます。
条件の良い住宅ローンに借り換える
今の住宅ローンよりも条件の良い住宅ローンが見つかれば、借り換えを検討するのも良いでしょう。
ただ、借り換えをすることで必ずしも返済負担が減るというわけではありません。
住宅ローンの残高が1,000万円以上ある人や、返済残り年数が10年以上ある人、今の住宅ローンと乗り換え予定の住宅ローンの金利差が年1.0%以上ある人であれば借り換えをすることで負担を減らせる可能性があります。
自分たちがどのような現状なのかを見直し、借り換えをするかどうかを検討してみましょう。
ただし、住宅ローンを借り換える時は、新たに事務取扱手数料などの諸費用がかかるため、諸費用の負担が少ない金融機関を探すのもポイントです。
繰り上げ返済をする
繰り上げ返済は、まとまった金額を返済するため利息分を減らすことが可能です。
繰り上げ返済には2つのパターンがあります。
住宅ローンを契約する際には、どちらのパターンを扱っているのかを事前に確認しておくようにしましょう。
・返済期間短縮:繰り上げ返済を行うことで毎月の返済額は変動しないが、返済期 間を短くすることができて利息の負担も軽減できる
・返済額軽減型:繰り上げ返済を行うことで返済期間は変動せず毎月の返済額を減らすことができるが、返済期間短縮よりも利息の負担が多少ある
上記のように、返済期間短縮と返済額軽減型でそれぞれの特徴があるため、将来繰り上げ返済を検討している方は、前もって金融機関にどちらのパターンになるか確認しておいてください。
また、繰り上げ返済には手数料がかかる金融機関もあります。
インターネットから繰り上げ返済手続きをする場合は無料で、店舗での手続きは有料など、金融機関によってさまざまです。
この点もしっかりと金融機関に確認しましょう。
高齢で住宅ローンを組む時の対策
住宅ローンは、早めに組んで早めに完済する方が負担も少なくてすみます。
ただし、どうしても高齢で住宅ローンを組まないと完済できないという方もいるでしょう。
高齢で住宅ローンを組むときの対策を解説していきます。
親子リレーローンを選択する
1つ目は、親子リレーローンを選択することです。
親子リレーローンとは、返済の途中で親から子に債務者が変わるローンのことです。
このローンを利用すれば、親が恒例になった時に子どもが引き継いで返済することができます。
ただし、親子リレーローンを組む場合は以下のような条件を満たさなければなりません。
・現在同居中または将来的に同居を予定している親子である
・借入時の年齢が18歳〜70歳で、この最終返済時年齢が80歳未満である
・引き継げる子は1人まで
・親か子のどちらかが団体信用生命保険に加入している
・親子どちらも安定して収入を得られている
また、親子リレーローンをする場合は、必ず子どもの同意を得てからローンを申し込むようにしましょう。
ローンだけでなく、住宅を維持するための費用や建て替え費用などもどうするのか親子で話し合うことも大切です。
ペアローンを選択する
ペアローンとは、親子や夫婦など一定の収入がある同居親族と一緒に、それぞれを主たる債務者として住宅ローンを契約する住宅ローンのことです。
そのため、親子で住む家を購入する場合に使えます。
ただ、それぞれの債務に対して連帯保証人が必要になってきます。
また、ペアローンを組むと、住宅ローン契約が2つになるため、団体信用生命保険もそれぞれが加入しなければなりません。
もし片方が死亡したり、高度の紹介状態になった場合、その人の残債は保険金で相殺できるため、もう片方の債務者が負担しなければならないということはありません。
ペアローンを組むことで、それぞれの住宅ローン控除もそれぞれで受けられるため節税対策としても有効です。
ただ、以下の点には注意しましょう。
・事務取扱手数料などの諸経費も2倍かかる
・団体信用生命保険に加入すれば亡くなった人の残債は相殺されるが、もう一方の方は返済を続ける必要がある
・ペアローンで購入した物件は債務者2人が共有しなければならない
・定年退職して収入が減ると住宅ローンの節税効果を活用できない可能性もある
上記のように、一般的な住宅ローンとは違う注意点があるため、ペアローンを検討する方は金融機関へ相談してみましょう。
シニアのための住宅ローンを選択する
住宅ローンには、シニア向けの住宅ローンもあります。
それは、「リバースモーゲージ型住宅ローン」です。
リバースモーゲージ型住宅ローンとは、主に50歳以上を対象とした住宅ローンで自宅を担保にすることで融資を受けられます。
また住宅の購入だけでなくリフォームや建て替えなどでも借入できます。
リバースモーゲージ型住宅ローンは、毎月の返済が利息分のみのため、家計の負担を減らせるという特徴があります。
ただ、契約者が亡くなった場合、残債を一括返済しなければなりません。
その方法は、「物件を売却して返済」・「現金で一括返済」の2パターンです。
そのため、相続人になる予定の家族には事前に了承を得ておく必要があります。
また、借入金額は、通常の住宅ローンよりも高めに設定されているため、どのくらいの金利なのかは申し込む前に確認しておくようにしましょう。
頭金を多めに支払う
年齢が高い人が住宅ローンの審査を通過しにくくなる理由は、高齢になった時に滞りなく返済できるのかどうかを金融機関に警戒されているからです。
高齢でも住宅ローンの審査を通過する確率を上げるためには、頭金を多めに用意しておくのも効果があります。
頭金が多いことで、借入金額を少なくでき審査が通りやすくなります。
頭金が多いと返済負担も減らせるので、高齢になってからの負担も軽くできるでしょう。
ただ、頭金を支払いすぎて貯蓄が少なくなると、当面の生活が大変になってしまう可能性もあるので、バランスを見極めることが大切です。
まとめ
住宅ローンの借入の年齢制限や、住宅ローンを組む場合の年齢別の注意点などを解説しました。
住宅ローンはできるだけ早めに組む方が、債務者の負担を減らせます。
しかし、高齢になってから住宅ローンを組みたい場合も出てくる恐れがあります。
その時には、親子リレーローンやペアローンなどを利用して、住宅ローンを組むことも可能です。
ただ、それぞれに注意点があるのでよく確認しておきましょう。
住宅ローンや年齢制限について気になる方は、住宅ローンの申し込みを検討している金融機関にも問い合わせし、納得のいく形で住宅ローンを組んでください。