戸建てには様々なタイプがありますが、多くの人が憧れを持つスタイルの一つが庭つき住宅です。
建物部分だけではなく、庭も自由な空間として活用できる庭つき住宅は、庭のない住宅にはない魅力があります。一方で、注意しなければならない点もあります。
ここではそんな庭つき住宅のメリットだけではなく、庭つき住宅の注意点や庭つき住宅で楽しめることを紹介します。
目次
庭つき住宅のメリット
庭つき住宅には様々なメリットがあります。
ここでは具体的な庭つき住宅のメリットを紹介します。
基本的に「自由」
庭つき住宅の庭も「自宅の敷地」になるため、何をするのも自由です。
もちろん法律的な制約や、周辺・近隣住宅への配慮は必要ですが、趣味の空間にするのも、観賞用のスペースとするのも、子どもの遊び場にするのも、解放感のある休憩スペースとするのも自由です。
いわば「自宅以外のもう一つの自由なスペース」として活用できる点が庭つき住宅のメリットです。
解放感がある
庭つき住宅があると、隣家と距離を保つことになります。昨今、いわゆる「ペンシルハウス」と呼ばれる細長い3階建ての戸建て住宅を見かける機会が増えています。こちらは庭のない住宅で、よく見れば隣家とは数十cm程度しか離れていないケースが珍しくなく、圧迫感があります。
その点庭つき住宅は、自宅建物と隣家建物の間に庭を挟むことになるため、解放感があります。
ペンシルハウスのように「窓を開けても隣の家の壁しか目に入らない」ことはなく、見晴らしの良さや解放感を楽しむことができます。
ガーデニング・家庭菜園を楽しめる
ガーデニングや家庭菜園は、庭の無い家ではできません。
庭つき住宅だからこそ可能なものです。
デザイン性の高い庭を満喫したり、あるいは庭で家庭菜園を行い、栽培・収穫を楽しむこともできます。
もちろん法律的にも問題ありません。
家庭菜園で育てた野菜は、スーパーで購入する野菜とは違った魅力が待っていることでしょう。
子どもの遊び場
庭に滑り台など、子どもが遊べるスペースを作ることもできます。自宅内では設備を破損させてしまう恐れがありますが、庭であれば思う存分身体を動かすことができます。何を設置するでもなく、芝生を設置するだけでも子どもにとって「体を思う存分動かせるスペース」となります。
当初は芝生だけでも、子どもの成長に合わせてサッカーやバスケットのミニゴール、バッティングが可能なネットなどを設置することで、子どもの「特訓場所」にもなります。
ペットの空間になる
ペットを飼っている場合、ペットの空間にすることもできます。
ペットもまた、自宅内だけでは窮屈感・ストレスを覚えてしまうものですが、庭があれば庭を自由に駆け回ることができます。
ドッグランを設けるなど、ペットのための場所にすることも自由です。
プライバシー対策
庭つき住宅は、プライバシー対策にもなります。
例えば木を設置するだけでも外からの家の中への視線を遮断できます。
何かを設置することで、直接家の中を見られなくする効果があります。
常にカーテン・ブラインドを閉め続けている庭のない住宅にお住いの人もいます。特に人通りの多い道路に面している場合、その都度「家の中を見られるかも」との不安がよぎりますが、庭つき住宅であればプライバシー対策が可能です。
パーティやBBQを楽しめる
庭にアウトドア用のテーブルを設置することで、パーティやBBQを楽しめる空間となります。
周囲への配慮も大切ではありますが、友人・知人を招いての楽しい時間を過ごすことができます。
このような空間は、庭のない家では実現不可能です。
特にパーティやBBQで火を使用すれば煙が出ます。
家の中では現実的に難しく、かつ解放感もありませんが、庭であればその点も問題ありません。
変更できる
庭つき住宅でできることは、お伝えしたように多々ありますがいずれも一度設置したら永遠に継続しなければならないものではありません。
例えば子どもが小さい時には子どもの遊び場にしていたものの、子どもが自立して家を出たら家庭菜園・ガーデニングを楽しめる空間にすることもできます。
子どもに孫ができたので孫が来た時のための遊び場や家族団らんのためのスペースに変更するなど、フレキシブルな変更もすべて自由です。
庭つき住宅の注意点
庭つき住宅には多くのメリットがある一方で、気を付けなければならない点もあります。
メリット面だけではなく、注意点・デメリットも把握しておきましょう。
手入れが必要になる
庭はこまめな手入れが必要です。
何を設置するにせよ、設置して終わりではありません。
設置した種類に応じた手入れ・メンテナンスが必要です。
例えばプライバシー対策として樹木を植えたとします。
その樹木も成長するため、定期的に枝を切る必要があります。
生えてくる雑草の処理など、継続的な手入れが必要になります。
悪天候時
庭全体を屋根で覆うことは難しいため、ある程度は野晒となります。
そのため、悪天候時には悲惨な状況になる可能性があります。
例えば台風によって子どもの遊び場が吹き飛ぶこともあります。
散乱する程度で済むケースもあれば、隣家に被害を及ぼす可能性もあります。
その場合、弁済しなければなりません。
ガーデニングや家庭菜園も同様です。
隣家に被害を与える可能性こそ低いですが、悪天候によってそれまで地道に育成していたものがすべて台無しになってしまうケースがあります。
コストが必要になる
庭つき住宅は何をするにも自由だとお伝えしましたが、それらは費用がかかる前提があります。
「お金を支払えば」すべては自由です。
裏を返せば、すべて自由ではありますが、実現するだけの費用がなければ何もできません。
さらには何らかのトラブルで思わぬ出費を強いられるケースもあります。
例えば先程お伝えした悪天候時に、庭に設置していたものが破損してしまった場合、費用を捻出して作り直さなければなりません。
このように、何かとお金が必要になります。
把握できないトラブルが発生するケースがある
庭つき住宅は、時に自分自身で把握していないところでトラブル・アクシデントが起きるケースもあります。
例えば道路に面している場合、通行人が自宅の庭に物を捨てる可能性があります。ポイ捨てなど「誰にもみられていない」と思って庭に物を捨てる人もいます。
すぐに発見できればよいでしょう。
しかし、例えば捨てられたタバコから引火して…といったリスクもあります。
そのため、常に庭の状態には目を凝らしておく必要があります。
庭つき住宅の種類
庭つき住宅の「庭」にも様々なタイプがあります。
ここでは庭つき住宅で選択可能な庭の種類を紹介します。
ただし、主庭以外は「自由に決める」ではなく、実用性を踏まえての選択が求められる傾向にあります。
主庭
リビングやダイニングに面している部分の庭です。
最も面積の広い庭となる部分です。お伝えしたメリットを含め、何をするのも自由です。
前庭
勝手から玄関までの部分を指します。
主に通路として使用されることが多いため、自由度より機能性を重視される傾向にあります。
一方で外から見えやすい部分となるため、実用性だけではなくある程度デザイン性を重視する人もいます。
中庭
住宅の中側にあるため、外部の人間から見られることがありません。
プライバシーを確保した庭となりますが、日当りや風通しなど機能性は主庭に劣ります。
主庭と比較すると面積が狭くなるため、自由度は低いですが、アイディア次第では様々な形で活用できます。
裏庭
キッチンや浴室の裏に設ける庭です。
こちらの庭に関しては主庭と比較すると面積も狭くなるため、「自由に何かをするための庭」ではなく、物干し、あるいはゴミ置き場など生活スペースとして活用される傾向にあります。
坪庭
塀や垣根の内側にある庭です。採光や通風などを目的に設置されるため、「人が立ち入って何かをする」ための庭ではありません。
そのため、坪庭をどうするのかで悩むことは少ないですが、隣家との境界線的な部分となるため、隣家とのバランスを考慮する必要があります。
庭つき住宅を依頼する際のポイント
自由なスペースとして活用できる点が魅力の庭つき住宅ですが、注意しなければならない点もあります。
そこで実際に庭つき住宅を依頼する際に気を付ける点や選び方のポイントを紹介します。
隣家とのバランス
庭も含めて「自宅の敷地」となるため、庭は自由です。
しかし、自由ではあっても隣家への最低限の配慮は必要です。
そのため、隣家への影響・バランスは十分に考慮しましょう。
例えば子どもの遊び場。子どもの遊び場を造る自由はあります。
しかし、その影響が隣家に及ぶようなことがあってはなりません。
バスケットゴールやサッカーのミニゴールを設置したら、ボールが頻繁に隣家まで行ってしまうようでは、隣人トラブルの温床となりかねません。
隣家に影響を及ぼさない範囲での自由が求められます。
コミュニケーション
なぜ庭を造りたいのか、将来的にどうするのかなど、庭つき住宅は考えるべきテーマが多々あります。
そのため、依頼する際には施工・設計業者との綿密なコミュニケーションが大切です。
完成してから「思っていたものと違う」となっても、変更するためには別途費用を請求される可能性もあります。
自分自身の理想を伝えることはもちろんですが、無理なことは無理だと伝えてくれる業者の方が、行うべきことが絞れます。
明確な予算設定
お伝えしたように、庭に何を設置するにせよ費用がかかります。
費用を事前に伝えてくれる業者なのか、さらには明確な数値として伝えてくれる業者なのかも確認しておきましょう。
曖昧な言葉では思い違いが生じる可能性があります。
完成した後に思わぬ費用を請求される可能性もあります。
無理をしないことも大切
庭つき住宅は、敷地内に建物と庭を設けるため、現実的にある程度の土地が必要です。
そのため、広くはない土地で庭つき住宅を進めた場合、建物・庭それぞれが中途半端な形となりかねません。
理想を掲げることは自由ですが、土地の面積次第では諦めた方が良いケースもあります。
庭つき住宅の実績のある業者に相談する
庭つき住宅を依頼する業者は、過去に庭つき住宅の建築実績がある業者を選びましょう。
庭つき住宅の建築は庭のない住宅とは異なるノウハウが必要です。
ノウハウの豊富な業者であればあるほど、何が必要なのかが分かります。
また、具体的なアドバイスもおこなってくれることでしょう。
しかし実績のない業者の場合、見切り発車的な点も多々出てくるため、イメージしていた庭つき住宅とは違ったものになってしまう可能性があります。
まとめ
庭つき住宅のメリットや注意点、さらには建てる際の注意点を紹介しました。
庭つき住宅には庭のない住宅とは違った魅力があります。
建物とは違った部分での「自宅の敷地」として活用できる点が魅力ではありますが、費用、さらには隣家との兼ね合いもあります。
理想を形にするためには、覚えておくべき点が多々あることを踏まえ、庭つき住宅にすべきなのかを検討してみましょう。