注文住宅でクロス選びの基礎知識と失敗しないためのポイントを解説

注文住宅では天井や壁に貼るクロスも自分の好きなものを選べます。

しかし、クロスにはたくさんの種類があり、どれを使えば良いのか悩んでしまうでしょう。

そこで、ここでは注文住宅でのクロス選びの基礎知識と、失敗しないためのポイントを解説します。

家が完成してクロスを見て、思っているのと違った、と後悔しないためにもクロスの選び方をしっかりと学びましょう。

 

注文住宅でのクロス選びの基礎知識

まずは、注文住宅でのクロス選びの基礎知識を解説していきます。

・クロスは間取りが決まってから選ぶ
サンプルやカタログから吟味する
値段やメーカー・機能・種類もしっかりと熟慮して選ぶ

それぞれの内容について詳しく解説していきます。

 

クロスは間取りが決まってから選ぶ

ハウスメーカーでは、間取りが確定し住宅設備や床材などが決まってから、インテリアコーディネーターや営業・設計士とともにクロスを決めることが多いです。

この決め方は工務店でも同様ですが、小さな工務店の場合は工事が始まってから実際に現場を見ながら決めることもあります。

クロスを決める際には、コーディネーターと相談しながら好みのテイストに合わせたり、予算を意識して決めていきます。

 

サンプルやカタログから吟味する

クロスを決める打ち合わせでは、サンゲツやリリカラなどの各メーカーの見本帳をじっくり見ながら決めていきます。

非常に分厚い見本帳に、何百種類の壁紙の小さなサンプルが貼り付けられており、それを吟味して選んでいきます。

時にはカタログに掲載されている実際に施工された写真を参考に、好みのクロスを決めていきますが、膨大な数のクロスから好みのものを選ぶのはとても大変です。

そんな時は、分厚い見本帳から気になるクロスをいくつかピックアップし、A4サイズのサンプルを取り寄せたり、モデルハウスで確認してイメージを膨らませていきます。

 

値段やメーカー・機能・種類もしっかりと熟慮して選ぶ

クロスは、厚みや素材によって値段が異なります。

また、価格順にランク付けされており、大まかには量産クロスと高級クロスの2種類に分けられています。

費用を抑えたい場合は量産クロスを中心に選び、お金をかけたいところやこだわりたい部分には高級クロスを使うなど、場所に合わせて使い分けるのがおすすめです。

クロスのメーカーは、老舗のサンゲツやデザインが豊富なリリカラ、高級感のあるトキワなどがあります。

基本的にはどのメーカーから選んでも問題ありませんが、それぞれクロスによって価格が異なるので、予算も意識しながら選ぶと良いでしょう。

クロスには、消臭機能や防カビ機能など様々な機能が付けられています。

トイレには消臭機能のあるクロス、キッチンには防カビ機能があるクロスを、というように部屋の用途ごとにクロスを選ぶ方法もあります。

クロスの種類には、以下のようなものがあります。

 

・ビニールクロス ビニールシートに紙などを裏打ちして作られたクロス色やデザインが豊富

・紙クロス パルプを原料とした洋紙タイプの輸入商品が多い。
コウゾ・ミツマタを使った和紙やケナフなどの非木材紙を原料とした特殊紙タイプ、フィルム加工された合成紙タイプなどがある

・布クロス 木綿や麻などの自然素材を使ったタイプや、化学繊維を絡みわせて作られた不織布壁紙、シルク素材・サテン素材などがある

・木質系クロス 銘木シートやコルクシートなどのことをいう

・無機質系クロス 土や石、セラミックやガラス繊維などを主な原料としている

昨今ではコストや施工のしやすさからビニールクロスが主流ですが、これらのクロスのそれぞれ風合いや機能面に特徴があります。

違いをしっかりと理解した上で、好みのものを選ぶようにしましょう。

 

注文住宅のクロス選びでよくある失敗

注文住宅のクロス選びでは以下のような失敗が発生しやすいです。

・ランクを落としたせいで安っぽく見える
・ライフスタイルの変化を考慮していなかった
・流行を気にして選びすぎた

これからのクロス選びで失敗しないためにも、なぜそのような失敗をしてしまったのか、詳しく見ていきましょう。

 

ランクを落としたせいで安っぽく見える

クロスは、室内の壁と天井のほぼ全範囲に貼るため、ランクを1つ落とせばその分予算を節約することができます。

しかし、貼る範囲が広い分、部屋全体の印象を決める重要な役割も持っています。

そのため、節約しようとクロスのランクを落としてしまうと、全体的に安っぽく見えてしまうことがあります。

せっかくのマイホームが安っぽく見えてしまうのも残念なことです。

それぞれの部屋に合ったものを1つずつ決めていくようにしましょう。

 

ライフスタイルの変化を考慮していなかった

マイホームを建てた時には気に入っていても、ライフスタイルの変化を考慮せずにクロスを選んでしまうと後々失敗したと感じてしまう可能性があります。

例えば、その時の子供の好みに合わせて選んでも、成長した時に壁紙が年齢と不釣り合いになってしまうこともあるでしょう。

また、売却・賃貸に出さないといけなくなった時に、派手な壁紙を使っているとそれだけで売却・賃貸価格に影響が出ることもあります。

基本的には壁紙はシンプルなものにして、バランスよくアクセントクロスを使ったり、年月が経ってからも飽きにくい壁紙を使うなどの工夫をしましょう。

 

流行を気にして選びすぎた

最近では、くすみカラーやペールカラーが人気です。

グレーを基調としてコーディネートされた展示場やモデルハウスも多く、自分の家もこんな風にしたいと憧れる方も多いでしょう。

流行色はおしゃれですが、家は何年も住み続けるため10年、20年後には時代遅れの印象を持ってしまう可能性もあります。

何十年も住み続けるので、飽きのこないシンプルなデザインのものや、自分が親しみと愛着を感じるデザインのものを選ぶのがおすすめです。

 

注文住宅のクロス選びで失敗しないためのポイント

ここからは、注文住宅のクロス選びで失敗しないためのポイントを紹介します。

先ほど述べたような失敗をしないためにも、これから解説するポイントをしっかりと理解し、これからのクロス選びに繋げていってくださいね。

・どんな雰囲気の部屋にしたいのかを決める
ベースクロスはシンプルな色を選ぶ
アクセントクロスはバランスに注意する
家具や床・建具との色のバランスを考慮する
欲しい機能があるクロスを選ぶ
大きいサンプルを取り寄せる

それぞれのポイントを見ていきましょう。

 

どんな雰囲気の部屋にしたいのかを決める

まずはどんな雰囲気の部屋にしたいのか、インテリアテイストを決めましょう。

イメージが固まらずにクロスを決めると、全体で見た時にチグハグした印象になる場合があります。

部屋でどのようにして過ごしたいのかを考えて、理想の雰囲気にぴったりの壁紙を選ぶようにしましょう。

イメージがなかなか固まらない場合は、SNSや工務店・ハウスメーカーの施工事例、インテリア雑誌などからイメージ写真を探してくるのもおすすめです。

 

ベースクロスはシンプルな色を選ぶ

ベースとなるクロスは白などのシンプルな色を選ぶようにしましょう。

ベースクロスを派手な色にすると、空間全体で見た時にごちゃごちゃした雰囲気になって落ち着かない部屋になってしまいます。

白などの飽きにくい色を全体に使い、ポイントポイントでアクセントクロスを使うことで落ち着いた雰囲気を作れます。

また白のクロスを選ぶ際は、真っ白よりも少しベージュやアイボリーに近い色の方がおすすめです。

真っ白のクロスは、照明の光や太陽光に当たった時に眩しく感じるため、ベージュやアイボリーよりの白の方が眩しさを軽減できます。

 

アクセントクロスはバランスに注意する

部屋の一部にアクセントクロスを取り入れると、よりおしゃれな空間に仕上げることができます。

ただ、派手な色や柄を選んでしまうと、空間全体で見た時にまとまりがなくなったり、飽きやすくなったりするなどがあるため注意が必要です。

例えば、下がり天井に木目調のクロスを使ったり、キッチンの壁一面にアクセントクロスを使うとインパクトのある空間作りができます。

寝室の天井に暗めの色のアクセントクロスを貼れば、シックで落ち着いた雰囲気になり、1日の疲れを癒すリラックス空間を作れます。

派手なクロスやキャラクターのクロスを使いたいなら、トイレや収納内部・洗面所に挑戦するのがおすすめです。

狭い空間であれば、選んだクロスに飽きたり失敗したりしても、別のクロスに変えやすいので手軽に模様替えができます。

 

家具や床・建具との色のバランスを考慮する

家は、家具や床・建具など様々なポイントに色があります。

クロスを選ぶ際は、これまでの打ち合わせで決めた床や建具の色、今持っている家具やこれから購入予定の家具の色を考慮した上で選ぶようにしましょう。

クロス単体で色やデザインを選ぶと、床や建具・家具との調和が取れず、全体で見た時にごちゃごちゃして見えてしまう可能性があります。

また、色は1つの空間に3色程度で抑えるようにしましょう。

これ以上たくさんの色を使うと個性的な印象になってしまい、バランスを考えてコーディネートするのが難しくなります。

空間の色は、下記のベースカラー・アソートカラー・アクセントカラーを意識して見るとバランスよくまとまります。

・ベースカラー 壁や天井など広い範囲を占める色のこと、全体の7割が理想
アソートカラー 家具や建具などベースカラーの次に広い面積を占める色のこと、全体の2.5割程度が理想
・アクセントカラー 全体の0.5割程度を占める色、空間にメリハリが生まれる

上記の割合を意識して選ぶことで、全体をまとめておしゃれな空間作りをすることが可能です。

 

欲しい機能があるクロスを選ぶ

先にも述べましたが、クロスには様々な機能があります。

代表的なものをいくつか紹介します。

・消臭効果 タバコや生活臭を消す効果がある、効果は10年程度持続する
防カビ効果 カビができにくいように防カビ処理されたクロス
抗菌効果 防汚機能と一緒に対応していることが多く、表面に抗菌剤が使用されている
表面強化 一般的なクロスよりも強度が高い、破れにくく傷がつきにくい
スーパー耐久性 高い耐久性があり、引っ掻き傷がつきにくい
吸放湿効果 湿気が高い時には水分を吸収し、乾燥している時には水分を放出する
防汚効果 表面に特殊なフィルムがラミネートされている、汚れても水拭きや中性洗剤で汚れを落とせる
マイナスイオン効果 マイナスイオンが発生するクロス
蓄光機能 真っ暗な空間だとほのかに発光するクロス
防火機能 不燃性がある燃えにくいクロス

トイレには防カビ効果のものを使ったり、キッチンには防火機能のあるクロスを選ぶなど、部屋の用途に合わせて欲しい機能を選ぶのもおすすめです。

 

大きいサンプル取り寄せる

クロスは必ず大きなサンプルを取り寄せてもらって確認するようにしましょう。

小さいサンプルだけで決めると、実際に出来上がった時とイメージが違って見える可能性があります。

イメージが異なって見えるのは、「面積効果」と呼ばれる現象が原因です。

例えば、明るい色は面積が大きくなるほど明るく見えて、暗い色は面積が大きくなるほど暗く見えます。

この現象はクロスを選ぶ際にも同じことが起きるので、小さなサンプルでは理想的な色でも実際に広い面積に貼られると「思っていたのと違った」といったことになりかねません。

必ず営業やインテリアコーディネーターにサンプルを取り寄せてもらったり、自分でメーカーのサイトにアクセスしてサンプル請求をして見比べるようにしましょう。

また、サンプルが届いたら日のあたる場所と当たらない場所での見え方の違いを確認したり、手触りやクロスの厚みも確かめてから選んでください。

 

まとめ

まとめ①

注文住宅でのクロス選びの基礎知識、よくある失敗と、失敗しないためのポイントについて解説しました。

ほとんどの部屋の天井と壁にクロスを貼るため、選ぶときもとても大変です。

しかし、クロスをじっくりと時間をかけて選ぶことで、よりおしゃれな住空間を作ることができます。

これまで解説したことを参考に、マイホームのクロス選びをしてみてくださいね。

 

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