キッチンの熱源を決める際、IHにするかガスコンロにするか悩む方も多いのではないでしょうか.
そこで、ここではIHとガスコンロの違いやメリット・デメリットについて解説しています。
また選ぶ上で気になる費用や光熱費に関しても徹底比較していますので、どうぞご覧ください。
目次
IHとガスコンロの違いは何?
ガスコンロが都市ガスやプロパンガスを燃焼させて発熱させるのに対し、IHは電力を使って発熱させていることから、大きな違いは熱源であることがわかります。
また、他にも違いがあります。
それは加熱方法です。
IHは電磁波で鍋底そのものを加熱させるのに対し、ガスコンロはガスによって発生する火を鍋底に当てて加熱します。
熱効率はIHが約90%に対し、ガスコンロは約40〜55%と大きな差も存在します。
IHとガスコンロには見た目にも違いがあります。
IHは平らで凹凸がなくすっきりした見た目をしていますが、ガスコンロにはバーナーや五徳があり、凸凹した見た目をしています。
また、IHの場合、使用できる調理器具がIH対応のもののみですがガスコンロはどの調理器具を使っても問題ありません。
このように、IHとガスコンロは見た目や熱源などの違いがあるため、キッチンの熱源を決める際にはそれぞれの違いを把握しておくようにしましょう。
IHのメリット
ここからはIHとガスコンロのそれぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。
まずは、IHのメリットについて見ていきましょう。
・火を使用しないので安全
・掃除の手間が省ける
・キッチンが暑くなりにくく夏も快適
・便利な機能がたくさん搭載されている
・室内の空気が汚れにくい
・太陽光発電や蓄電池を組み合わせて使える
・電源を入れてから温まるまでが早い
それぞれのメリットについて説明していきます。
火を使用しないので安全
IHを使用する最も大きなメリットは、火を使わないため安全であるという点です。
ガスコンロは火を使うのに対し、IHは電気を使って加熱するため火事や火傷のリスクを減らせます。
また、コンロを鍋から外した時には、加熱がストップする設計になっているので、消し忘れてしまうという失敗もありません。
掃除の手間が省ける
ガスコンロは五徳やバーナーがあって凸凹しており、掃除がしにくいですが、IHはフラットな形状となっているので掃除がとても楽です。
ふきんなどでさっと拭き取るだけでお手入れができるので、普段のお手入れのストレスも軽減されますね。
キッチンが暑くなりにくく夏も快適
火を使うと周囲にも熱が放出されて熱くなりやすいです。
しかし、IHは電気を使って鍋そのものを発熱する仕組みとなっているので、周囲に熱が放出されずキッチン空間が暑くなりにくいのです。
夏でも快適に料理ができるようになります。
便利な機能がたくさん搭載されている
IHは、機種によっては便利な機能がたくさん搭載されています。
例えば、温度を細かく設定できる機能や、タイマー設定、吹きこぼれ防止機能などです。
便利機能を使いこなせば、安全に料理ができるだけでなく時短や省エネにも繋がります。
室内の空気が汚れにくい
IHは二酸化炭素を発生させません。
室内の空気が汚れにくく、人に有害な窒素酸化物が溜まらないため安全性も高いです。
ただ、調理中に水蒸気や油煙が発生するため換気扇の使用は欠かせません。
レンジフードは換気扇自体から空気を出して吸い込みやすくしており、IHとの相性が良いのでおすすめです。
太陽光発電や蓄電池を組み合わせて使える
IHは電気で発熱して使うものなので、太陽光発電や蓄電池とも組み合わせて使うことができます。
太陽光発電や蓄電池を使えば、省エネ性能をあげることができ、電気代の節約にも繋がります。
電源を入れてから温まるまでが早い
以前はIHの電源を入れてから温まるまでに時間がかかるものもありましたが、最近のIHは立ち上がりまでが随分と早くなりました。
200V電源を使うIHだと火力も強いのでとても使いやすいです。
IHは火力が弱いと言われていましたが、最新のIHではその点も改善されています。
また、ガスコンロの場合、屈んで火加減を確認しなければいけませんが、IHの場合火力を液晶画面などで確認することが可能です。
立ったまま楽な姿勢で火力の調整ができるので、調理の際のストレスを軽減させられます。
IHのデメリット
続いてIHのデメリットを解説します。
・IHに対応した調理器具を使用しないといけない
・火力の微調整が難しい
・停電したら使用できない
それぞれのデメリットを見ていきましょう。
IHに対応した調理器具を使用しないといけない
IHの場合、調理器具はIH対応のものでなければ使用できません。
IH対応の調理器具を揃えなければならず、初期費用がかかってきます。
基本的には、鉄鍋とステンレス鍋は使用できますが、土鍋やガラス鍋はオールメタルのIH対応調理器具を購入しなければ使えません。
火力の微調整が難しい
IHは液晶を見ながら火力の微調整が可能です。
しかし、直接目で火力を確認することができないため、慣れるまで火力の微調整は難しいと感じる方もいるでしょう。
また、IHは鍋底を重点的に加熱するので、鍋底が焦げやすいというデメリットもあります。
長時間加熱する場合には、鍋底が焦げ付かないように注意しながら調理しましょう。
停電したら使用できない
IHは電気を使用するため、停電すると一切使えなくなってしまいます。
電力が復旧するまでコンロを使えなくなってしまうため、冬場に停電した場合、温かい食事が作れずに厳しい状況になることもあります。
ガスコンロのメリット
続いてガスコンロのメリット・デメリットを解説していきます。
まずはメリットです。
・鍋をあおりながらでも調理ができる
・どんな調理器具でも使える
・停電時にも使用が可能
・どの時間帯に使用してもガス代は同じ
・構造がシンプルで壊れにくい
それぞれのメリットについて見ていきましょう。
鍋をあおりながらでも調理ができる
チャーハンを作る際に、火から鍋を離してあおりながら調理することがあります。
しかし、IHの場合、天板から鍋を離すと熱を鍋に伝えられないため、鍋振りをして調理する料理には向いていません。
対してガスコンロは、実際の炎を使用するので鍋を振って調理することも可能です。
また、網を使って食材を炙って調理するなど、調理の幅を広げられるのもガスコンロの大きなメリットでもあります。
どんな調理器具でも使える
IHの場合、IH対応の調理器具でなければ使えませんが、ガスコンロではそのような不便はありません。
基本的にはどの調理器具でも使えるので、新しい調理器具を購入する際も選択肢が広がります。
調理器具にこだわりがある方には、ガスコンロをおすすめです。
停電時にも使用が可能
IHは停電時に使用できないというデメリットがありますが、ガスコンロは乾電池式であれば停電時も使用することが可能です。
地震が発生するとガスの供給がストップしてしまうこともありますが、停電ほどの頻度ではないため、災害時にも安心して使えます。
どの時間帯に使用してもガス代は同じ
電気代は時間帯によって料金が変わります。
対してガス代はどの時間帯に使用しても料金が同じなので、時間帯を気にせずに調理することができます。
IHは電気を使って調理するため、電気代を気にしながら調理することへ負担を感じる方もいるかもしれません。
ガスの場合、そんなストレスとは無縁です。
構造がシンプルで壊れにくい
ガスコンロはとてもシンプルな構造をしています。
そのため、故障がしにくく長く使えるというメリットがあります。
また、IHのように天板に直接鍋を置いて使わないため、吹きこぼれや衝撃に対する耐久性も高いです。
ガスコンロのデメリット
続いてガスコンロのデメリットを見ていきましょう。
・火を使うので火災や怪我の危険性が伴う
・熱がこもりやすく空気も汚れやすい
・凸凹が多いのでお手入れが大変
火を使うので火災や怪我の危険性が伴う
ガスコンロはガスを燃焼して火を発生させるため、火災や火傷のリスクがあります。
どんなに注意していても、鍋の油に引火したり、周囲のものに燃え移ったりと想定外の事故が発生する恐れもあるのです。
ガスコンロを使って調理をする際は、必ず火から目を離さないようにしましょう。
特に小さい子供のいる家庭や高齢者の一人暮らしでは安全に十分配慮する必要があります。
熱がこもりやすく空気も汚れやすい
ガスコンロは調理器具だけでなく周囲の空気も温めてしまうため、熱がこもりやすいです。
特に夏場は暑くなりやすく、熱中症の危険性も高まります。
また、炎を燃やすと一定量の一酸化炭素・二酸化炭素が発生し空気が汚れやすくなるため、必ず換気扇を回して空気を入れ替えをしましょう。
凸凹が多いのでお手入れが大変
フラットなIHと違い、ガスコンロには五徳やバーナーなどがあり凸凹しています。
そのため、IHよりもお手入れが大変です。
吹きこぼれによってついた汚れた五徳や天板にこびりついてしまうと、なかなか汚れを落とせず掃除に苦労する方も多いでしょう。
定期的に五徳とバーナーキャップを分解して丸洗いするなど、こまめな掃除をしなければなりません。
IHとガスコンロを徹底比較
ここからはIHとガスコンロの違いを、光熱費・本体価格・交換工事費用の点で徹底比較していきます。
IHにするか、ガスコンロにするか悩んでいる方は、費用面でもそれぞれの違いを比較して検討してみましょう。
光熱費はガスコンロの方がお得
光熱費では、一般的にはガスコンロの方が安く抑えることが可能です。
ただ、太陽光発電を搭載している家庭の場合、IHの方が光熱費を安く抑えられる可能性もあります。
家庭にどのような省エネ設備を搭載しているかによって、どのくらい光熱費がかかってくるか変わってきます。
家庭全体の電気代やガス代を考慮した上でIHとガスコンロのどちらにするか選ぶようにしましょう。
本体価格はガスコンロの方がお得
本体はガスコンロの方が安く購入することが可能です。
ガスコンロは構造がシンプルなため、安いものでも6万円程度から購入できます。
一方でIHは構造が複雑なこともあり、安いものでも15万円ほどかかり、ガスコンロの倍以上の値段です。
ただ、ハイグレードの製品の場合、大きな価格差はないため、購入希望の製品の金額を比較して選ぶようにしましょう。
交換工事費用はIHの方が少しお得
IHやガスコンロは耐用年数をすぎると交換しなければならなくなります。
その際の交換工事費用は、ガスコンロの方が少し高いです。
IHの工事費用は2万円程度ですが、ガスコンロは2.5万円程度です。
大きな差はないですが、耐用年数がIHが10〜15年に対してガスコンロは10年程度のため、その点も踏まえてIHの方が少しお得だといえるでしょう。
ただ、ガスコンロからIHに交換する場合、5〜10万円程度かかってきます。
電気回線の状況によってはさらに費用がかかってきたり、ガスの閉栓や電圧の変換なども必要になってくるので、熱源を変える場合にはどのくらい金額がかかるのか工事業者に見積もりを出してもらうようにしましょう。
IHは火力が弱い?うまくあたたまらない理由を紹介
IHの火力はガスよりも弱いのでは?と思っている方もいるのではないでしょうか。
実は全くそんなことはなく、むしろガスよりもIHの方が火力が強いです。
では、なぜIHは火力が弱いと思われているのでしょうか。
それは、IHを上手く使いこなせていない可能性があります。
IHでは上手くあたたまらない理由を4つ紹介します。
鍋底がうまく接地していないから
鍋底が歪んでいたりすると、IHプレートに接地できず、うまくあたためることができません。
中華鍋のように丸い鍋はIHとの相性が良くありません。
この場合は、鍋底が歪んでいない平らな鍋を使用することで解決できます。
IHの熱が十分に伝わっていないから
普段使用している鍋がアルミ鍋や銅の鍋の場合、IHの熱が十分に伝わらないことがあります。
IHの火力をしっかりと伝えて調理するなら、鉄やステンレスなどIH対応の鍋を使うようにしましょう。
鍋全体を温めにくく対流が起こりにくいから
IHは鍋底を中心に温める仕組みになっているので、ガスコンロのように鍋の周りまでしっかりと熱くすることはできません。
そのため、鍋周りの焦げ付きを少なくすることができますが、鍋全体を温めるのがガスコンロよりも不得意であることがわかります。
そんな時は、落とし蓋や水かさを減らしたり、時々かき混ぜることで解決できます。
火力制限を受けているから
IHはたくさんの電気を使用するので、同時に使用できる電気の量が制限されています。
そのため、IHを複数同時に使うことで制限を受ける可能性もあります。
ただ、IHの最大火力はガスコンロの最大火力よりも強いので、強火での調理には向いているといえるでしょう。
IHとガスコンロのどっちがおすすめ?
結局のところ、IHとガスコンロではどちらがおすすめなのでしょうか。
これは、キッチンでどのような料理をしたいかによって変わってくると思われます。
IHがおすすめの人、ガスコンロがおすすめの人それぞれを紹介します。
IHは火を使わずに料理をしたい人におすすめ
IHは、火を使わずに料理をしたい方におすすめです。
火を使わないため、火事や火傷、一酸化炭素中毒などの危険性も低いです。
また、自動電源オフ機能やチャイルドロック機能など様々な機能が搭載されているものもあるので、小さい子供が誤って触ってしまったことによって起きる事故や、高齢者の火の消し忘れなどの予防もできます。
安全性を重視して料理をしたい方にはIHの方がおすすめです。
また、IHはプレートが平なので、コンロよりもお手入れが手軽です。
換気扇も汚れにくいので、できるだけ掃除やお手入れに手間をかけたくない人やキッチンを綺麗な状態にしておきたい方にはIHが良いでしょう。
ガスコンロは料理を楽しみたい人におすすめ
料理を楽しみたい方にはガスコンロがおすすめです。
IHでは土鍋や中華鍋が使えないため、料理を楽しみたい方には物足りない可能性もあります。
土鍋でご飯を炊いたり、中華鍋をあおって本格的な中華料理を作ったりしたいという方は、ガスコンロを選ぶと良いでしょう。
まとめ
IHとガスコンロの徹底比較をしました。
キッチンは、毎日調理をする際に必ず使うものです。
毎日使用する際に、自分がストレスにならないコンロを選ぶようにしましょう。
これまでの内容を参考にし、IHとガスコンロのどちらが自分に合っているのかをしっかりと検証して決めてくださいね。