注文住宅と建売住宅の違いとは?それぞれのメリット・デメリットと向いている人の特徴

家の購入を考えている人の中には、注文住宅と建売住宅どちらが良いのか悩んでいるという方もいらっしゃるでしょう。

注文住宅と建売住宅にはそれぞれ特徴があり、どちらが良いかは考え方や状況により異なります。

本記事では、注文住宅と建売住宅の違いについてご紹介するとともに、それぞれのメリット・デメリットや向いている人の特徴をご紹介します。

 

注文住宅と建売住宅の違いとは?

注文住宅と建売住宅はどのような点で異なるのでしょうか。

ここでは、そもそも注文住宅と建売住宅がどのようなものなのかについて、見ていきましょう。

 

注文住宅とは

注文住宅②

注文住宅とは、施主から注文を受けて建てる住宅のことを指します。

自分で土地を持っていたり、土地を購入したりして、更地の状態から建物を建てていくことになります。

このため、打ち合わせに数ヶ月の期間が必要になり、また建物着工後も完成まで3カ月~半年程度かかることから、全体では1年以上の期間がかかることが多くなっています、

 

建売住宅とは

建売住宅とは②

建売住宅とは、住宅会社が建てた建物を、土地と建物一括で購入するものです。

すでに完成した物件を購入することになるので、購入の意思決定から引っ越しまで数週間で完了することもあります。

比較的手軽に家を購入できる方法だと言えるでしょう。

 

注文住宅のメリット

注文住宅のメリットには以下のようなものがあります。

・自分の理想の家を建てられる
・建築中の状況を確認できる
・土地に合った建物を建てられる

それぞれ見ていきましょう。

 

自分の理想の家を建てられる

注文住宅は間取りから設計士と打ち合わせして作っていきます。

このため、好きな間取りの家を建てられるだけでなく、例えば家具の配置や、壁にニッチを設けるかどうか、またコンセントの数など自由に決めることが可能です。

住宅情報誌などを見て、自分の理想の家があるという方に特におすすめできる方法だと言えるでしょう。

なお、注文住宅といっても一般的に全てを自由に決められるというわけではありません。

建築を依頼する住宅会社によって、ある程度仕様が定められているからです。

例えば、断熱材はロックウールを採用しているといった住宅会社で、断熱材を吹き付けに変更したいといったことも可能ではありますが、費用が割高になる可能性があります。

住宅会社側は、仕様を統一することで、メーカー側から割安で仕入れられるように交渉しているのです。

このため、自分の建てたい家の設備などが、住宅会社の定める仕様とマッチしているかを確認することが大切です。

 

建築中の状況を確認できる

注文住宅は、更地の状態から家を建築していくことになるため、建築中の状況を確認できます。

外見からは同じように見える住宅であっても、躯体内などは棟梁や職人などにより仕上がりが異なるものです。

もちろん、素人目で見てすぐに分かるような違いは少ないですが、手抜き工事をしていないかどうかなどを確認することはできるでしょう。

また、図面の状態ではイメージがつかなかったものも、施工が進めばイメージが湧きやすくなるものです。

建築途中であっても、配線する前であれば、照明を増やしたり、コンセントを増やしたりといったことが可能なケースもあります。

そのように、建築途中で修正が可能という点もメリットとなるでしょう。

 

土地に合った建物を建てられる

注文住宅は土地の上に間取りを作っていくことになるため、土地に合った建物を建てることが可能です。

例えば、周囲に建物が建っていて、陽当たりが悪いことが想定されるのであれば、2階にリビングを持ってくるといったことができます。

また、土地の形が凸凹しているような場合であっても、土地を活かした家を建てることも可能でしょう。

親から相続した土地などで、土地の形が凸凹していて活用しづらいようなケースでも、注文住宅が得意な住宅会社に依頼することで素敵な家を建てられる可能性があります。

また、土地を購入して家を建てるようなケースでは、土地の形などに問題がある土地は価格が相場より安いケースが多いですが、そのような土地をうまく活用することで、割安で家を購入することもできるでしょう。

 

注文住宅のデメリット

一方、注文住宅には以下のようなデメリットがあります。

・建築に時間がかかる
・費用が高くなりやすい
・イメージと実物が異なることがある

それぞれ解説します。

 

建築に時間がかかる

注文住宅のデメリットとして、建築に時間がかかることが挙げられるでしょう。

注文住宅は、間取りから各種設備、壁紙の色まですべて自分達で決めていくことになります。

このため、契約前の打ち合わせの回数が多く、家を建てることを決めてから実際に着工するまで数ヶ月かかることも珍しくありません。

また、着工してから完成するまでも3カ月~半年などの時間がかかることになります。

特に、すぐに住む家が欲しいという方には向いていないと言えるでしょう。

 

費用が高くなりやすい

注文住宅は費用が高くなりやすい点に注意が必要です。

注文住宅の費用が高くなりやすい理由としては、以下のようなことが挙げられます。

・こだわりを詰め込みすぎてしまう
・つなぎ融資費用がかかる

 

こだわりを詰め込みすぎてしまう

もちろん、設備など自分達で指定することになるため、安く作ろうと思えば安くすることも可能です。

しかし、注文住宅を建てたいという方は何かしらこだわりがある方も多いです。

ご自分の理想を取り入れていくことで、最終的な資金計画が割高になってしまうことはよくあることなのです。

『想定していた予算よりかなり高くなってしまった』ということを避けるためにも、あらかじめ優先順位を決めておくことが大切です。

例えば、建物費用が多少高くなっても問題ないように、土地の費用を安く抑えるといったことが考えられるでしょう。

その場合、土地の立地は多少悪くても妥協できるか、あるいは土地は小さくても問題ないかなど、ある程度妥協していく必要があります。

その代わり、建物にお金をかけて、大きなパントリーを取り入れる、などご自分の理想に合わせて優先順位をつけるのです。

 

つなぎ融資費用がかかる

注文住宅の費用が高くなってしまう2つ目の理由として、つなぎ融資費用がかかってしまうことが挙げられるでしょう。

つなぎ融資費用とは、建物の着工中に必要な費用について、別途金融機関からお金を借りる制度のことです。

住宅を購入するにあたり、住宅ローンを利用する方がほとんどでしょう。

しかし、住宅ローンは完成した建物を担保として取るのが一般的です。

注文住宅だと建物が完成するまでは融資を受けることができないのです。

一方、建物の請負契約では、建物の着工時に3割、上棟時に3割など、建物完成前に分割してお金を支払わなければならない形となっていることが多いです。

土地を購入して家を建てる場合も、住宅ローン融資前に土地の購入費用が必要になってしまいます。

こうしたときに利用するのがつなぎ融資です。

つなぎ融資を利用することで、土地代や着手金、中間金について、融資を受けることが可能です。

借りた金については、建物完成時に住宅ローンを借りることで一括返済することになります。

つなぎ融資費用は、住宅ローンと比べて金利が高く、3%程度以上の金利が設定されていることが多いです。

着工期間中だけお金を借りる制度ではありますが、融資利息で数十万円程度の費用がかかってしまうことになるのです。

 

イメージと実物が異なることがある

注文住宅は、実物がない中で、紙に書かれた間取り図などを元に打ち合わせを進めていくことになります。

最近では、3D空間を体験できるVRの設備などもありますが、それでも実物とは異なる点が多いものです。

想定したよりリビングや寝室の広さが狭かった、といったことはよくあるものです。

この点、建売住宅であれば、実物を見ながら検討できる点で大きく異なるでしょう。

実物とイメージの際をできるだけ減らすためにおすすめなのが、同じような広さの建売住宅やモデルハウスを見学して、実物を確認しながら間取りの作成を進めることです。

 

建売住宅のメリット

次に、建売住宅のメリットを見ていきましょう。

具体的には、以下のようなことが挙げられます。

・すぐに入居できる
・割安になりやすい
・実物をみながら物件を購入できる

それぞれ見ていきましょう。

 

すぐに入居できる

建売住宅は、完成した物件を土地と建物一括で購入するものであるため、気に入った物件があれば数週間程度で入居まで進めることも可能です。

具体的な流れとしては以下のようになるでしょう。

・買付申込を入れる
・住宅ローン事前審査を受ける(数日程度)
・売買契約を結ぶ
・住宅ローン本審査を受ける(1~2週間程度)
・決済~入居

売買契約を結ぶには、住宅会社の事務所などに足を運ぶ必要があり、また審査や決済時には金融機関に足を運ぶ必要があることから、日程調整が必要になります。

このため、物件の購入を考えてから、概ね1ヶ月程度あれば引っ越しまで進められると考えているとよいでしょう。

急いでいる方で、日程を詰められるという方は、2週間程度で入居できるケースもあります。

 

割安になりやすい

建売住宅は,注文住宅と比べると割安になりやすいでしょう。

すでにお伝えした通り、注文住宅は安くしようと思えばできますが、こだわり要素を詰め込むことで高くなってしまうことが多いのです。

ここでは、建売住宅が割安になりやすい理由として、以下の通り解説します。

・住宅会社が価格を考慮して計画するから
・つなぎ融資費用がかからないから

 

住宅会社が価格を考慮して計画するから

建売住宅は、完成し建物を土地と建物一括で購入するものです。

商品として、あまり高額過ぎると買い手がつきにくくなるでしょう。

もちろん、住宅会社や商品のコンセプトにもよりますが、同じ性能であれば安い住宅の方が購入希望者は多くなるもの。

このため、建売住宅の価格は比較的安くなるよう設定されることが多いです。

なお、建売住宅は、モデルハウスとしての側面も持つことがあります。

住宅会社が建売住宅でお客様を案内して、注文住宅の契約を取る目的で建てられるのです。

こうした建売住宅の場合、完成から一定期間経過しても売れない場合には、価格が値引きされるケースもあります。

この点も、建売住宅を割安で購入しやすい理由となるでしょう。

 

つなぎ融資費用がかからないから

建売住宅は完成し建物を購入するため、注文住宅のようなつなぎ融資費用が不要となります。

このため、経費分で数十万円分は費用を安くできると考えられるでしょう。

ただし、不動産会社の仲介により、建売住宅を購入するようなケースでは、不動産会社に仲介手数料を支払わなければなりません。

仲介手数料は、「売買価格✕3%+6万円+消費税」が上限として定められており、この上限額を請求されることが多いです。

例えば、3,000万円の物件であれば100万円程度の仲介手数料を支払わなければなりません。

住宅会社が直接建売住宅を販売しているようなケースでは、基本的に仲介手数料は不要になるため、どのような形態で売買契約を結ぶのかについてはあらかじめ確認しておくとよいでしょう。

 

実物を見ながら物件を購入できる

建売住宅は、実物を見ながら物件を購入できます。

例えば、隣地に建っている建物がどの程度日光を遮って、リビングには何時から何時まで日が入るのかといったことも確認できます。

また、外壁の色などサンプルで見るのと実際に住宅に施工されているのとではイメージが異なることも多いものですが、建売住宅であればそうした心配はありません。

 

建売住宅のデメリット

一方、建売住宅には以下のようなデメリットがあります。

・平均的な家になる
・似たような家が建ち並ぶ
・建築中の家を確認できない

それぞれ見ていきましょう。

 

平均的な家になる

建売住宅は、一般的な購入層を想定して建てられるものです。

例えば、夫婦に子供2人といった家庭をイメージして、3~4LDKといった間取りで建てられることが多くなるでしょう。

このため、お子様が3人以上いるようなご家族では建売住宅では部屋数が合わないといったことが起こります。

また、設備やデザインなども平均的な家になりやすいです。

そうした家を好む方もいらっしゃるでしょうが、せっかく家を購入するなら個性的な家に住みたいといった方には向かない可能性が高いでしょう。

 

似たような家が建ち並ぶ

建売住宅は、分譲地で建てられることも多いもの。

そうしたケースでは、周囲に似たような外見の家が建ち並ぶことになります。

この点でも、自分の家に個性を求める方には建売住宅は向いていないといえます。

 

建築中の家を確認できない

建売住宅は、完成した物件を購入するもののため、建築中の家を確認できません。

家がどのように建てられたか、手抜きはされていないかなど確認したいという方にはデメリットとなるでしょう。

なお、住宅会社によっては、建築中の写真を提供してくれることもあります。

 

注文住宅と建売住宅どちらがいいの?

注文住宅と建売住宅のメリット・デメリットを解説しましたが、結局注文住宅と建売住宅はどちらがよいのでしょうか。

ここでは、注文住宅と建売住宅について、それぞれ向いている人の特徴をご紹介します。

 

注文住宅が向いている人

注文住宅が向いている人の特徴としては以下のようなものが挙げられます。

・ある程度お金がかかっても家にこだわりたい人
・細かなところまで自分できめたい人
・土地を持っている人

すでにお伝えしたように、注文住宅の建築には建売住宅と比べてお金がかかることが多いです。

このため、多少お金がかかってでも、家にこだわりたいという人におすすめあといえるでしょう。

また、注文住宅を建てる際には、家の中の壁紙の1つ1つまで打ち合わせしながら決めていくことになります。

そうした、細かな部分まで自分で決めたいという方におすすめです。

その他、土地をすでに購入した人や、ご両親から相続した土地があるといった方で、その土地に建物を建てたいと考えている人は、注文住宅以外の選択肢はないといえるでしょう。

 

建売住宅が向いている人

建売住宅が向いている人の特徴は以下のようなものです。

・手軽に家を購入したい人
・一定水準の性能があれば家にこだわらない人
・費用を安く抑えたい人

建売住宅は完成した物件を購入するため、気に入った物件があれば、手間なく入居まで進めることが可能です。

基本的に、住宅会社の標準的な仕様で建てられていることが多く、一定水準の性能は備えています。

また、設計のプロが、過去に人気のあった間取りなどから間取りを考えることが多く、平均的とはいえ合理的な間取りになることが多いでしょう。

そのうえで、一定期間売れ残った商品の場合は値引き交渉できることもあります。

このため、費用を安く抑えたい人にもおすすめだといえるでしょう。

 

まとめ

注文住宅と建売住宅の違いやそれぞれのメリット・デメリットと供に、それぞれ向いている人の特徴をご紹介しました。

注文住宅と建売住宅にはそれぞれ特徴があり、どちらがよいかは考え方や状況により異なります。

特にすでに土地を持っている人で、その土地に家を建てたいと考えている人は注文住宅以外の選択肢はないでしょう。

一方、土地を持っていない方であれば、デザイン面や費用面などトータルで考えて、注文住宅が良いか建売住宅が良いかしっかり比較することが大切です。

家の購入を考えていて、注文住宅と建売住宅どちらにすればよいか迷っているという方は、本記事の内容を参考になさってください。

 

 

 

 

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