夫婦で住宅ローンを組むならペアローンがおすすめの理由!注意点なども解説

2023.11.24

結婚をして家族が増えると、持ち家の購入を考えます。そんな時に活用されるのが住宅ローンです。

さらに住宅ローンの種類の中には、ペアローンというローンの組み方があります。

住宅ローンを組む際はペアローンにするのがおすすめです。

では、どうして住宅ローンはペアローンがおすすめなのか?

また、ここではペアローンのメリットや組む際の注意点など詳しく解説します。

 

住宅ローンのペアローンとは?

住宅ローン③

住宅ローンのペアローンとは、1つの物件に対して、夫婦それぞれが住宅ローンを組み、お金を借り入れるもののことです。

夫婦それぞれがローンの返済ができなければいけないので、原則として共働きの夫婦が対象となります。

夫の年収だけでは住宅ローンの借入希望額に届かない場合でも、ペアローンでは妻の収入も合算することはできるため、ローンを組める額が多くなります。

そのためペアローンを活用することで、より多くの住宅購入資金を準備できるでしょう。

その他にもペアローンを活用するメリットがあるので、メリットについては「ペアローンがおすすめの理由」にて解説します。

 

住宅ローンを組む4つの方法

住宅ローンを組むには、以下の4つの方法があります。

・単独で住宅ローンを組む
・連帯債務で住宅ローンを組む
・連帯保証で住宅ローンを組む
・ペアローンで住宅ローンを組む

それぞれのローンの組み方や特徴などを、詳しく説明します。

 

単独で住宅ローンを組む

最もポピュラーな、住宅ローンの組み方で、夫もしくは妻が単独で、住宅ローンを組む方法です。

契約者は団体信用生命保険に加入できるので、万が一の事があった時でも契約者以外の人がローンを払う必要がありません。

また住宅ローンの場合は連帯保証人を立てなくても借りられる物がほとんどなので、契約者が亡くなった時の返済を考えなくていいです。

ただし、シンプルでリスクが少ないローンですが、どちらか一方の年収に応じた金額しか借り入れることができません。

 

連帯債務で住宅ローンを組む

住宅ローンは夫婦それぞれが、連帯債務でローンを組むこともできます。

もし夫の年収が少なかった場合、借り入れできる限度額にも制限があります。

そういった場合には、夫婦の年収を合算させて借入限度額を引き上げるのが一般的です。

年収を合算させてローンを組む方法の1つが「連帯債務型」での契約になります。

連帯債務で住宅ローン契約をすると、夫婦共に返済義務を負うことになるため、金融機関は夫にも妻にも返済請求を行えるようになります。

連帯債務型で住宅ローンを組むと、より多くの金額を借入することができますが、万が一の時、多額のローンが残ってしまう可能性もあるでしょう。

そういったことにならない為にも、ローンの負担割合をよく考えて契約する必要があります。

 

連帯保証で住宅ローンを組む

夫婦の年収を合算させて住宅ローンを組む場合、「連帯保証型」でローンの契約をすることもできます。

連帯保証型の住宅ローンは、契約者以外の人が連帯保証人になってローン契約を結ぶ方法です。

妻が連帯保証人になった場合も、夫婦の年収を合算させて借入限度額を計算できます。

夫婦合算の年収でローンを組めるので、より多くの資金を借り入れられるでしょう。

契約者は団体信用生命保険に加入できるので、契約者に万が一の事があった場合も連帯保証人に残債請求が起こる可能性は低いです。

ただし連帯保証人に何かがあった場合には、契約者に保証が無くなってしまうので注意が必要です。

 

ペアローンで住宅ローンを組む

住宅ローンはペアローンにして組むこともできます。

ペアローンとは夫婦それぞれでローンを組む方法で、夫婦それぞれに異なる条件での借り入れが可能です。

妻が10年後に退職予定であれば、妻は10年間の変動金利で契約し、夫は35年間の固定金利などで契約することも可能です。

ペアローンは、夫と妻がそれぞれ連帯保証人となり、契約を行います。

主契約者が夫であれば妻は連帯保証人になり、主契約者が妻であれば夫は連帯保証人となる契約です。

自由度高く契約内容を設定できるので、ペアローンを選択して住宅ローンを組む夫婦は増えています。

 

ペアローンがおすすめの理由

住宅ローンを組む際にペアローンにするのがおすすめの理由は、以下の通りです。

・住宅ローン控除額が増える
・万が一の事があっても残債を保険で完済できる

それぞれの理由を、詳しく解説していきます。

 

住宅ローン控除額が増える

住宅ローンをペアローンで契約すると、住宅ローン控除額が増えます。

住宅ローンを組むと住宅ローン控除を受けることができますが、限度額もあります。

限度額は購入する家の性能や年度によって、異なります。

住宅性能 借入限度額 (2022~2023年入居) 借入限度額 (2024~2025年入居)
長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円 4,500万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円
その他住宅 3,000万円 0円

 

この限度額内で住宅ローンを組めば、毎年年末のローン残高に対して0.7%の税額控除を受けられます。

夫婦のどちらかが単独で住宅ローンを組んでしまうと、この限度額以上のローンには控除が受けられません。

例えば、5,000万円の省エネ基準適合住宅を購入した場合4,000万円までは税額控除を受けられますが、1,000万円分は控除の対象外となります。

しかし、ペアローンで契約すると、残りの1,000万円分も控除の対象となります。

よって、住宅ローン控除の観点で見るとペアローン契約をするのはとてもお得な方法と言えるでしょう。

単独で住宅ローンを組んでいると、控除額は4,000万円×0.7%の28万円にしかなりません。

残りの1,000万円×0.7%の7万円の控除を、毎年損してしまいます。

ペアローンで住宅ローンを組んで、ローン控除を受けた方が税制面でかなりお得になるでしょう。

ちなみに、控除される税は①所得税②住民税の順です。

所得税は累進課税制度なので、年収が高いと一気に増えます。

年収が高い夫婦程、ペアローンでの住宅ローン控除がお得になるでしょう。

 

万が一の事があっても残債を保険で完済できる

住宅ローンをペアローンで組むと、万が一のことがあっても残債を保険で完済できるのもメリットです。

ペアローンでは夫婦それぞれが、住宅ローンの契約者になります。

住宅ローンの契約者になると団体信用生命保険に加入することができるので、夫婦のどちらかに万が一の事があっても一方の残債は保険で賄えます。

連帯債務型や連帯保証人型でローンを組んでいると、万が一の事態になった時に残債が大きく残ってしまう可能性もあります。

ペアローンを活用することで、こういったリスクを減らすこともできるでしょう。

ただしどちらか一方の身に何かあった場合、自分のローンは返済しなければいけないのでそこは注意点です。

 

住宅ローンの返済方法や期間をそれぞれ設定できる

住宅ローンをペアローンで組むと、ローンの返済方法や返済期間は夫婦でそれぞれ選択することができます。

収入の金額や今後の予定に応じて柔軟に設定できるので、ローン返済に無理が生じにくく、柔軟なローン返済計画を立てることできるでしょう。

2人の今後の人生設計を立てる際にも、柔軟な対応ができそうです。

 

住宅ローンでペアローンを組む際の注意点

メリットの多いペアローンですが、組む際には、いくつかの注意点もあります。

・頭金の拠出額と名義の持ち分比率を合わせなければいけない
・住宅ローン控除を受けられない可能性もある
・住宅ローン控除中に収入が大きく減ると控除の恩恵も減る
・事務手数料や印紙代などの手数料が2倍になる

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

 

頭金の拠出額と名義の持ち分比率を合わせなければいけない

住宅ローンでペアローンを組む際は、頭金の拠出額と持ち分比率を合わせなければいけません。

ペアローンで住宅を購入した場合、名義は夫と妻の共同名義になります。

共同名義にした場合持ち分をそれぞれ決定しなければいけません。

持ち分は「夫:妻=1:1」や「夫:妻=8:2」など様々な比率で決められます。

しかし、この持ち分比率は頭金の拠出額の比率やローンの出資額と大きく離れてはいけません。

仮に5,000万円のペアローンを組んだ場合、例えば比率を「夫:妻=7:3」とすると、住宅の持ち分比率も一般的には「夫:妻=7:3」となります。

ここでもし持ち分比率を「夫:妻=1:1」などのように設定してしまうと、大きくはみ出た金額に贈与税がかかってしまうことがあります。

上記の例で「夫:妻=1:1」にするとお互いに2,500万円出資する計算になりますが、妻は実際には1,500万円しか出資していないため、差分1,000万円を「夫から贈与を受けた」とみなされてしまうのです。

その為、この1,000万円には贈与税がかかります。

持ち分比率はプロと相談して、きちんと決めなければ損をしてしまいます。

不動産会社に相談して持ち分比率で失敗が起こらないように注意してください。

 

住宅ローン控除を受けられない可能性もある

住宅ローンを組んだ際に住宅ローン控除を、受けられない可能性もあります。

例えば以下のようなことに該当する場合です。

・年間の合計所得が2,000万円を超えている場合
・借入期間が10年未満の場合

住宅ローンを組んだ際に年間の所得が2,000万円を超える方は、住宅ローン控除を受けられません。

もしご自身の所得が2,000万円を超えそうなのであれば、所得をギリギリで抑える工夫が必要かもしれません。

また借入期間が10年未満の場合も、住宅ローン控除は受けられません。

借入期間もよく考えて設定しておかないと、損をすることがあるので注意してください。

前述した通り、住宅ローン控除は家の性能や購入年度によって限度額が設定されています。

これから購入する住宅がどの限度額に該当するのかも調べておかなければ、損をしてしまうでしょう。

 

住宅ローン控除中に収入が大きく減ると控除の恩恵も減る

住宅ローン控除を受けている間に、収入が大きく減ると控除の恩恵も減ってしまうので注意しましょう。

例えば、奥様が妊娠出産をして、仕事を休業してしまうケースです。

産休や育休に入ると所得が一気に減ってしまうので、その分の所得税や住民税控除が受けられません。

出産時に給付される出産一時金や出産手当金、育児休業給付金は非課税所得となります。

つまり所得に含まれないお金なので、住宅ローン控除の対象にはならないのです。

課税される所得が減ると、その期間の住宅ローン控除は減額されることになります。

住宅ローンを組む際にこういった注意点を知っておくと、収入が減少した時の為に対策も準備できるでしょう。

 

事務手数料や印紙代などの手数料が2倍になる

住宅ローンをペアローンで組むと、事務手数料や印紙代などが単純に2倍かかる点も注意点の一つです。

夫婦のうちどちらかがローンの契約者になれば1人分の手数料や印紙代だけでOKです。

しかしペアローンにした場合は、その手数料などが2名分かかってしまいます。

ただし手数料や印紙代は数万円程度です。

ローンの内容やローンを組んだ金額で異なりますが、控除額などを加味すると大きく損になることはありません。

ペアローンにして住宅ローン控除を上手く活用したほうがお得になる可能性が高いでしょう。

 

住宅ローン控除を受ける方法とは?

住宅ローン控除を受けるには一連の流れがあります。

住宅ローン控除を受ける方法をご紹介します。

1.必要書類への記入
2.提出書類の準備
3.確定申告を実施

それぞれの流れを、詳しく解説していきます。

 

1.必要書類への記入

ペアローンを組んで住宅ローン控除を受ける場合には、夫婦それぞれ会社員だった場合以下の2つの書類を作成しなければいけません。

・確定申告書(A書式)
・住宅借入金等特別控除額の計算証明書

夫婦それぞれで確定申告を行う流れになるので、必ず2部作成しましょう。

 

2.提出書類の準備

続いて、確定申告時に添付する書類を準備します。

具体的には以下の書類です。

・登記事項証明書
・請負契約書または売買契約書の写し
・住宅借入金に係る借入金の年末残高証明書
・給与所得の源泉徴収票
・住民票の写し

登記事項証明書は、法務局のホームページからオンライン申請できるようになっています。

全ての事項が記載された登記事項証明書を請求して、添付すれば問題ありません。

住宅借入金に係る借入金の年末残高証明書は、住宅ローンを組んでいる金融機関から事前に郵送されるはずです。

確定申告時まで紛失しないように保管しておきましょう。

その他、源泉徴収票や住民票の写しも準備しておきます。

 

3.確定申告を実施

必要書類の記入と書類の準備が済んだら、確定申告を行います。

ただし、確定申告の期間は1月1日~3月15日までと決まっています。

住宅を購入した翌年の、1月1日~3月15日に確定申告を行いましょう。

住宅ローン控除を受ける場合の確定申告は、初年度に1度行うだけでOKです。

1年目に確定申告を行うと、税務署から以下の書類が郵送されます。

・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

これらの書類は、1年ごとに勤務している会社に提出できるようになっています。

自分が働いている会社で年末調整を行う際に、毎年この書類を忘れないように提出しましょう。

2年目以降は、それだけで住宅ローン控除を受けることが可能です。

初年度は確定申告が必要なのでちょっと大変ですが、2年目以降は会社が処理してくれるので簡単になります。

 

まとめ

まとめ

今回は、夫婦で住宅ローンのペアローンを組む特徴などを解説しました。

住宅ローンを組む際に、ペアローンを採用する夫婦は近年増えています。

ペアローンにすると税制面でお得になったり、返済に柔軟性が出るなどのメリットが沢山あります。

しかし、いくつかの注意点もあるのでよく考えて、自分たちに合った住宅ローンを組むようにしましょう。

ペアローンを採用するかどうかは不動産会社とよく話し合い、自分たちに合った返済方法を考えましょう。

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