部屋を明るく広々と見せてくれる吹き抜けのある間取りは人気です。
家づくりで間取りを考える際に、吹き抜けのある家を希望する方も少なくありません。
そこで、ここでは吹き抜けのメリット・デメリット、吹き抜けのある家を建てる時の注意点について解説しています。
吹き抜けのある間取りにして後悔しないためにも、メリット・デメリットをよく理解しておくようにしましょう。
それでは早速ご覧ください。
目次
吹き抜けとは?
吹き抜けとは、上下階に天井や床を作らずに1階から上階まで空間がつながっている間取りのことです。
つながっている部分は天井が高くなっているため、空間が広く感じられます。
自然光も取り込みやすいことから家を明るく照らしてくれる効果もあります。
吹き抜けがあることで得られるメリット
吹き抜けがあることで以下のようなたくさんのメリットが得られます。
・開放感のある空間が作れる
・自然光が入りやすくなる
・風通しが良くなる
・上下階が繋がるのでコミュニケーションが取りやすくなる
・設計次第で将来的に部屋を作ることもできる
・デザイン性の高い家が作れる
6つのメリットについてみていきましょう。
開放感のある空間が作れる
吹き抜けによって上下階がつながっているので、その分天井が高くなります。
天井が高くなると開放感のある空間作りができます。
そのため、家族が集うリビングやダイニングに吹き抜けが作られることが多いです。
面積の狭いリビングであれば、吹き抜けを作れば窮屈な印象もなくなって視覚的に広々とした印象を作ることもできます。
また、吹き抜けの開放感はリビング階段のデザイン性の高さと相性が良いです。
2つを組み合わせることで、スタイリッシュな空間にすることができます。
玄関に吹き抜けを作れば、狭い玄関も広々とした印象のある空間を作ることもできるのでおすすめです。
自然光が入りやすくなる
密集した住宅街だと、1階にリビングを作っても隣家同士の距離が近いため、日が入りにくくなります。
また、お隣の家が近かったり、道路から家が近いと外の視線が気になってリビングの窓を開けづらくもなるでしょう。
せっかく大きな窓をつけてもカーテンを開けられず、暗いリビングになってしまう可能性もあります。
吹き抜けのある間取りにすれば、隣家を気にする心配もなくなります。
下階の窓が解放できなくても、吹き抜けの上階に窓を設置すればそこから自然光を取り込むことが可能です。
風通しが良くなる
吹き抜けを作ることで風通しもよくなります。
暖かい空気は上に登っていく性質があるため、吹き抜けを採用することで部屋の中が暖かい空気でこもりにくくなり、風通しが良くなります。
上階に窓を設置すれば、1階の空気を2階から換気できる仕組みとなり、新鮮な空気の循環が可能です。
天井にシーリングファンがあれば、空気をより循環させることができるので、吹き抜けを採用するならシーリングファンの取り付けもおすすめします。
上下階が繋がるのでコミュニケーションが取りやすくなる
吹き抜けをつけると上下階が縦でつながっているため、家族がどこにいるのか気配が常に感じられます。
吹き抜けのあるリビングに、リビング階段を設置すれば家族は2階に上がるためにリビングを通る必要があり、その時に「ただいま」「おかえり」などの挨拶も交わせます。
コミュニケーションも取りやすくなるので、家族の会話を大切にしたい人には吹き抜けがおすすめです。
設計次第で将来的に部屋を作ることもできる
吹き抜けを作るということは、上階の部屋にできる部分を空けることになります。
吹き抜けがあることでリビングを明るく照らすことができますが、将来家族が増えた時に部屋数が足りなくなる可能性もあります。
そんな時に、吹き抜けのあるスペースに床を貼り、将来的に部屋を作ることも可能です。
家を建てた時には吹き抜けにして、将来的に部屋を作れるように設計してもらうと将来部屋が必要になった時にスムーズに対応できるでしょう。
デザイン性の高い家が作れる
吹き抜けを間取りに取り入れることでおしゃれな室内空間を作ることできます。
吹き抜けで広々とした空間にリビング階段を採用したり、天井からおしゃれな照明を釣りしたりなど自分好みにインテリアコーディネートも可能です。
吹き抜けは洋室・和室問わずにどんなタイプの部屋にも合わせられるので、コーディネートの幅も広がります。
吹き抜けがあることで発生するデメリット
続いて吹き抜けのあることで発生するデメリットについてみていきましょう。
・空調が効きづらくなり光熱費が高くなりやすい
・臭いや音が伝わりやすくなる
・メンテナンスや掃除が大変
・上階の床面積が少なくなる
・構造計算で吹き抜け部分を強くする必要がある
5つのデメリットを解説していきます。
空調が効きづらくなり光熱費が高くなりやすい
暖かい空気は上に行き、冷たい空気は下に留まる性質があります。
そのため、吹き抜けを作ることで空調の効きが悪くなり、光熱費が高くなりやすくなるというデメリットが発生するのです。
特に冬場は、せっかくエアコンをつけても暖かい空気が上に登ってしまい、下階のリビングは冷たいままということになりかねません。
そんなことにならないためにも、シーリングファンやサーキュレーターを使って空気が滞留しないように工夫しなければなりません。
他にも、実際の帖数よりも少し上のエアコンを選んでみたり、床暖房を吹き抜けの下階部分に設置して温度調整ができるようにしたりと、様々な対策を練ると良いでしょう。
臭いや音が伝わりやすくなる
上下階が吹き抜けでつながっていると、下階で発生した臭いや音が上階まで伝わりやすくなってしまいます。
料理の匂いが寝室まで広がったり、上階で遊んでいる子供の声が響きやすくなったりなど、吹き抜けでのこのような失敗事例はよくあります。
音が響きにくくなるように吸音材を使ったり、防臭効果のある壁紙を採用したりといった対策を施して、うまく付き合っていく必要があるでしょう。
メンテナンスや掃除が大変
吹き抜けがあるとメンテナンスや掃除が大変になります。
例えば、天井付近に設置した照明の電球交換や窓の掃除は高所作業になり、危険が伴ってくるのです。
場合によっては足場を設置して業者に掃除をお願いしなければならないこともあるでしょう。
吹き抜けは方角によっては結露が発生しやすくなり、カビの温床になることもあります。
吹き抜けを間取りに採用する場合、メンテナンスや掃除をどのようにしていくかも考えなければなりません。
専門業者にお願いするのも良いですが、自分たちで掃除をしたいなら吹き抜け部分にキャットウォークのような通路を取り付けるのが良いでしょう。
上階の床面積が少なくなる
吹き抜けを採用することで、上階の床面積が少なくなります。
そのため、部屋数が少なくなったり、収納スペースが少なくなったりといった事態が起こります。
開放感のある家にするか、部屋数を取るかをしっかりと考えた上で間取りを決めるようにしましょう。
先にも述べましたが、設計次第では将来的に吹き抜け部分を部屋にする間取りも考えられます。
ライフプランも踏まえて、将来部屋にもできるように設計士に間取りを検討してもらうのもおすすめです。
構造計算で吹き抜け部分を強くする必要がある
吹き抜け部分は構造計算上、弱くなりやすい部分です。
そのため、吹き抜けのある家を作る場合、吹き抜けの位置や面積をしっかりと検討しなければ強度のある家を作ることが難しくなります。
設計士の計算でどうしても強度が足りない場合は、吹き抜けの面積を小さくしたり、吹き抜け部分に梁同士を固定する火打ちを採用しなればなならなかったりと、様々な対策を施さなければなりません。
家の強度は、長く住み続ける上でもとても重要です。
開放感のある家にしたくても、強度がたりずに間取りを変更しなければならない可能性もあります。
おしゃれな吹き抜けを作るポイント
おしゃれな吹き抜けを作るにはいくつかポイントがあります。
・吹き抜けから入る自然光を意識する
・おしゃれな照明を配置する
・スケルトン階段や手すりを採用する
・勾配天井を採用して空間に動きを加える
4つのポイントについて見ていきましょう。
吹き抜けから入る自然光を意識する
吹き抜けをおしゃれにするなら、自然光の入り方にも意識しましょう。
南からさんさんと光を差し込む部屋にしたいか、北側から穏やかな光を差し込む空間にしたいかによって、吹き抜けを設置する場所や窓の位置も変わってきます。
どのようにして自然光を取り入れたいかを考えてみましょう。
おしゃれな照明を配置する
間接照明やペンダントライトなど、おしゃれな照明を吹き抜けに取り付けるとより吹き抜け空間がおしゃれになります。
柔らかい光で吹き抜けを照らすので、リビングに取り入れればよりリラックスした空間作りができるでしょう。
スケルトン階段や手すりを採用する
吹き抜けにリビング階段を設けるなら、スケルトン階段や手すりを採用するのもおすすめです。
一般的な壁のある箱階段もおしゃれですが、吹き抜けの開放感が抑えられてしまう可能性があります。
スケルトン階段なら吹き抜けの開放感を感じながらスタイリッシュな空間作りができます。
リビングに階段を取り付ければ、リビング空間にスケルトン階段がアクセントとなってよりかっこいいリビングになるでしょう。
勾配天井を採用して空間に動きを加える
屋根の勾配に合わせて傾斜をつけた勾配天井にすることで、より吹き抜けに高さが生まれます。
同じ空間の天井に高低差が生まれると動きも出てくるので、空間にさらに広がりを感じられます。
より開放的で立体的な空間作りをしたいなら、吹き抜けと勾配天井の組み合わせはおすすめです。
吹き抜けのある家を建てる場合の注意点
ここからは、吹き抜けのある家を建てる場合の注意点について解説していきます。
・暑さ・寒さ対策をする
・メンテナンスや掃除のしやすさも考慮する
・音・臭い対策をする
・建物の強度を高める
それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
暑さ・寒さ対策をする
暑さ・寒さ対策には様々な方法があります。
例えば、簡単な対策ではシーリングファンを吹き抜けの天井に取り付けて空気を循環しやすくする方法です。
同じような方法ではサーキュレーターを用意して、エアコンの風を誘導する方法もあります。
他にも簡単にできる対策として、カーテンを使って空調を聞きやすくする方法もあります。
保温効果の高いハニカムスクリーンを吹き抜けの窓に取り付けると、室内で適温になった空気が外へ逃げにくくなります。
家自体が暑さ・寒さを感じにくくするなら、断熱材を性能の良いものに変えたり、厚みを変えたりするのも良いでしょう。
また窓をペアガラスの断熱サッシにするなどして、高気密・高断熱住宅にするのもおすすめです。
高気密・高断熱住宅にすることで、室内で適温になった空気が逃げにくくなり、外気も室内に侵入しにくくなります。
これにより、室内が常に適温で維持されるようになり、快適な室内空間が実現できます。
室内が常に適温で維持されることで、冷暖房効率も上がり光熱費の節約にも繋がるなど省エネにも繋がるのです。
断熱材の厚みを変えたり窓ガラスを性能の良いものに変えると費用が高くなってしまいますが、それ以上にメリットがとても多いです。
メンテナンスや掃除のしやすさも考慮する
吹き抜け部分の窓掃除や照明の交換は大変です。
少しでも負担を減らすためにもメンテナンス・掃除のしやすさを考慮しましょう。
例えば、照明には寿命の長いLED照明を採用することで交換頻度を減らすことができます。
また、電動昇降タイプの照明器具を取り付ければ、ボタンひとつで照明を上げ下げして掃除もしやすいです。
窓の掃除は、キャットウォークを取り付けることで掃除をしやすくすると良いでしょう。
音・臭い対策をする
先に述べたように、音の対策では吸音材を使って足音が響きにくくしましょう。
また、音が漏れ出てほしくない部屋には防音材を使うのもおすすめです。
臭い対策には、防臭効果のある壁紙を使ったり、臭いも吸収してくれる珪藻土を採用するのも良いでしょう。
他にも、匂いが発生しやすいキッチンを半個室にしたり吹き抜け部分に換気できる窓を設置すると臭いも気になりにくくなります。
建物の強度を高める
吹き抜けのある開放的な家にしたいという方も多いと思いますが、長く住み続ける家にするためにも建物の強度を一番に考えて家づくりをしましょう。
日本は地震の多い国です。
地震が少ない地域でもいつまた大きな地震が起きるかわかりません。
自分と家族が安全に安心して暮らすためにも、強い家を建てることは重要です。
吹き抜けのある家にすると、場合によって構造計算で強度が足りない場合もあります。
その際に強度を高められるように設計士に検討してもらい、場合によっては吹き抜けの面積を小さくするなどの間取りの変更もやむを得ないこともあります。
そのことは理解しておくようにしましょう。
まとめ
吹き抜けのメリット・デメリット、吹き抜けのある家を建てる場合の注意点について解説しました。
吹き抜けは開放的でおしゃれな間取り作りが可能です。
しかし、その反面デメリットも存在します。
吹き抜けのある間取りを採用する際は、デメリットもしっかりと考慮した上で採用するようにしましょう。
特に掃除やメンテナンス、建物の強度に関しては、毎日の暮らしにも関わってきます。
しっかりと設計士と相談し、家ができた後の暮らしもイメージした上で間取りを決定しましょう。