湿気で家はどのような影響を受ける?湿気に負けない家づくりを紹介

湿気がたまると、カビが発生したり、家が劣化したりと様々な影響を受けます。

そのため、家づくりの際には湿気に負けない工夫をする必要があるのです。

本記事では、湿気によって家がどのような影響を受けるのか、湿気に負けない家づくりのポイントを解説します。

長く快適に過ごす家にするためにも、湿気対策はとても重要です。気になる方は、ぜひご覧ください。

 

湿気によって家が受ける影響とは

空気中に含まれる水分が多いと湿度が高くなり、家の中でもジメジメとした環境になることがあります。

湿気がこもると体調不良になったり、カビが発生したりと様々なことが発生します。

ここでは、湿気によって家が受ける影響について見ていきましょう。

カビが発生する

カビは、湿度70〜80%以上・室温20〜30度の環境で発生しやすく、さらに栄養分である食べかすやほこり、ゴミが溜まっていると一気に繁殖します。

窓サッシなどに発生した結露を放置しているのも、カビが発生しやすい条件です。

また、壁の内側の断熱材にしっかりと防腐処理がされていないと、壁の内側と外側の温度差によって内部結露も発生することがあります。

内部結露によってカビが発生したり、柱などの構造体が腐食したりと家そのものにも影響が出ることもあるため大変危険です。

家の寿命が縮まる

湿気は構造体だけでなく基礎部分も腐食させます。

木材を腐らせる腐朽菌は、シロアリの餌でもあるため、シロアリが大量発生する恐れがあります。

シロアリは暗くて水分が多い場所が好きなので、基礎部分や構造体に多くの湿気が発生しているとシロアリが大量に集まってくるのです。

家に使われている木材をシロアリに食べられてしまうと、建物の強度が下がって家が傾いたり倒壊したりする危険性もあります。湿気の発生が家そのものの寿命を縮めてしまいかねません。

 

健康被害に遭う

湿気によってカビが発生すると、カビを栄養素にするダニも繁殖しやすくなります。ダニの死骸やフンを吸い込むとアレルギー反応を引き起こすなどの健康被害を及ぼすことがあります。他にも、湿度が高いと体温調整もしづらくなり、消化酵素の働きが鈍くなって食欲不振に陥ったりと、心身に様々な影響が出ることもあるのです。

湿気に負けない家づくりのポイント

家と家族を守るためにも、家づくりの段階から湿気に負けない工夫をしなければなりません。ここからは、湿気に負けない家づくりのポイントを見ていきましょう。

風通しの良い土地を探す

高台のように風通しの良い土地に家を建てることで、湿気が溜まりにくい家づくりができます。反対に、川や水辺の近くは水分を含む風が通りやすく、窓を開けていると湿度が上がりやすくなる可能性があります。

湿気が気になる場合は、高台のように風通しのように風通しの良い場所を探してみましょう。また、家の近くに川などの水辺がないかどうかもチェックしてみてください。

ベタ基礎で湿気の侵入を防ぐ

基礎には「ベタ基礎」と「布基礎」の2種類があります。

布基礎は、地面に逆T字型にコンクリートを打ち込んだ基礎のことで、地面と基礎の間が空いているため、そこからシロアリが侵入しやすく、湿気がこもりやすいというデメリットがあります。

対してベタ基礎は、家の底面全体に鉄筋コンクリートを流し込んだ基礎のことです。地面全体がコンクリートで覆われているため、地面から湿気やシロアリが上がりにくく、湿気防止に効果的です。

コストは布基礎の方が安いですが、湿気対策・シロアリ対策をするならベタ基礎がおすすめです。湿気による基礎に使用する構造材の腐食やシロアリ発生を予防できます。

床下に防湿対策を行う

床下は日が当たらない場所なので、湿気が溜まりやすいです。

床下に湿気がたまると、家の土台部分が腐食してシロアリ被害も発生しやすくなります。

そのため、床下にも防湿対策を行わなければなりません。

防湿対策には以下のような方法があります。

 

・地面に防湿シートを敷く

・地面に防湿用のコンクリートを打つ(厚さは60cm以上)

・風の通り道になる排出型と拡散型の床下換気扇を設置して空気を循環させる

・床下調湿材を撒く

床下調湿材は、ホームセンターでも売られているため自分で作業することも可能です。

上記のような方法で防湿対策を徹底しましょう。

部屋に窓を2つ以上設ける

換気は湿気対策としては効果的です。

寝室などの居室には、窓を2か所設けて風の通り道を作るようにしましょう。

窓が2か所と部屋の入り口部分の3か所に開口部ができることで通気性がよくなります。

気密性・断熱性の高い家にする

気密性が高いということは、家に隙間が少ないということです。

家の隙間が少ないと外から湿気が家の中に侵入しにくくなるため、室内の湿気のコントロールもしやすくなります。

また、断熱性が高いと結露の発生を抑えられるのです。

結露は外部と家の中との温度差で発生しますが、断熱材の性能が低かったり断熱性能の低い窓ガラスやサッシを採用すると温度差で壁の内側や窓サッシに結露が発生しやすくなります。

断熱性の高い窓や断熱材を利用することで、温度差がなくなって結露の発生を防ぎ、湿気が溜まりにくくすることが可能です。

高気密・高断熱な家づくりは、湿気対策には有効な手段です。

高効率な換気システムを設置する

2003年の法改正により、24時間換気システムが義務化されたため、換気システムの設置は住宅には必須です。

さらに湿気をコントロールしてより快適な室内環境にするなら全熱交換型の「第一種換気方式」の24時間換気システムの採用をおすすめします。

一般的な住宅に多いのは、第一種換気方式と第三種換気方式ですが、自然給気・機械排気の第三種換気方式と違い、第一種換気方式は給気も排気もどちらも機械で行います。

また、全熱交換型とは、温度と湿度の両方を交換するシステムのことです。

全熱交換型の第一種換気なら、外気の湿度に左右されることなく、室内の湿度を一定に保つことができます。

第三種換気方式の24時間換気システムよりもコストはかかりますが、第一種換気方式の全熱交換型24時間換気システムならカビや湿気を防いで室内を快適な環境にしてくれます。

さらに、高気密・高断熱な家にすることで、室内の温度差が生まれにくく、「夏は涼しく・冬は暖かい」家にすることも可能です。

収納スペースの換気対策を行う

クローゼットなどの収納スペースは空気がこもりやすくて湿気が溜まりやすい場所のため、換気対策を行わなければ衣類などにカビが発生する恐れがあります。

調湿機能のあるクロスや仕上げ材を収納スペースの内部に取り付けたり、換気装置を取り付けて空気の逃げ道を作ったりする方法で、換気対策を行うようにしましょう。

また、物入れの扉にガラリやスリットを取り付けるだけでは、換気としては不十分です。

ガラリやスリットを取り付けるなら、収納スペースの対角線上に窓やガラリを取り付けて風の通り道を確保してください。

仕切りの少ない開放的な間取りにする

壁や仕切りの多い間取りだと風通しが悪くなります。

風通しの良い家にするなら、仕切りの少ない開放的な間取りにするのがおすすめです。

また、吹き抜けを作ると1階から2階への空気の流れを作ることができ、風通しの良い家になります。

ただし、うまく湿気を排出できないと2階に空気が溜まってしまうため、窓を開けるなどして風の通り道を作ってください。

また、吹き抜けは暖かい空気が上に留まって暖房効率が悪くなってしまうこともあります。

サーキュレーターやシーリングファンを利用して風をうまく循環させるようにしましょう。

外壁の内側に通気層を作る

外壁の内側に通気層を作る工法を、外壁通気工法といいます。

サイディングなどの外壁材と下地の間に通気層を設けることで、壁内部での結露の発生を防止します。

特に高気密・高断熱住宅にする際は、この通気層が必要です。高気密・高断熱住宅は、家の中の空気が逃げにくくなるため、「夏は涼しく・冬は暖かい」家を作ることができますが、湿気対策をしなければ湿気も溜まりやすくなります。

湿気によって内部結露を発生させないために、高気密・高断熱住宅では外壁通気工法が採用されて、水分が溜まりにくい仕組みが作られているのです。

外壁通気工法は、外壁と壁との間に通気そうを設けて、壁内の水蒸気を通気層に出すように防湿シートを貼って施工されます。

一般的にはサイディングの下面を空けて外壁水切りを作り、軒裏に換気口を設けて上下に空気の出入り口を施工することで、湿気が溜まりにくい構造になっています。

調湿効果が期待できる内装材を取り入れる

内装材には調湿効果が期待できるものもいくつかあります。

例えば、無垢材や漆喰や珪藻土、い草の畳は、室内の湿度が溜まっている時に湿気を吸収し、乾燥している時には湿気を放出することで湿度の調整を行ってくれます。

また、LIXILのエコカラットを湿気対策に使うのもおすすめです。

エコカラットには小さな孔が空いており、その孔から湿気を吸収・放出し、室内の湿度をコントロールしてくれます。

調湿効果が非常に高く、珪藻土の6倍・調湿クロスの25倍以上の効果が期待できます。

結露やカビ・ダニ対策、室内干しをする際にも最適です。

浴室に乾燥暖房を設置する

家の中でも特に浴室は湿気で篭りやすい場所です。

浴室にカビが生えないようにするなら、乾燥暖房システムの導入をおすすめします。

乾燥暖房システムは、温風で浴室内を温めてくれるため素早く室内を乾かしてくれます。

湿気が溜まりにくく、梅雨の時期は浴室内で洗濯物を乾かすことも可能です。

花粉の時期のように外で洗濯物を干したくない時にも使えます。

カビの発生も防げるので、浴室を綺麗な状態に保てるのも嬉しいポイントではないでしょうか。

乾燥暖房システムを設置する場合、コストが少しかかりますが、費用対効果が期待できるシステムです。

 

まとめ

湿気に負けない家づくりについて解説しました。

湿気は、ジメジメと嫌な気分にさせるだけでなく家の寿命を縮めたり、人の健康にも被害が及ぶ恐れがあります。

家づくりの段階から湿気を意識した家を設計することで、住み始めてからも快適に過ごすことができます。

湿気によって受ける影響と、湿気に負けない家づくりのポイントを意識して、長く快適に住める家づくりをしましょう。

 

 

 

 

 

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