「窓の大きさや配置は?」「窓の種類は何がある?」
このように決めることが多い窓選びでは悩みが尽きない方が多くいることでしょう。
本記事では部屋に合った窓の種類や、失敗しないポイントなどを解説します。
室内の印象を良くするためには、部屋に合った窓を選ぶことが重要です。
窓は変更するのが大変な部分なので慎重に決めていく必要があります。
暮らしやすい住宅にするため、後悔しない窓選びをしていきましょう。
目次
窓の基本的な種類
窓はいくつか種類が存在するためどれにするか悩みますが、注文住宅では使用される窓はある程度決まっています。
注文住宅で使われることが多い窓は以下の5種類です。
・引違い窓
・すべり出し窓
・上げ下げ窓
・ルーバー窓
・FIX窓
以下でそれぞれの窓の特徴を解説します。
引違い窓
引違い窓は、一番使われることが多いオーソドックスな窓です。
2枚の窓ガラスをスライドして開閉する窓なので場所をとりません。
場所を選ばず取り付けやすく、様々な場所に幅広く設置が可能です。
また、値段が比較的安いため費用をおさえたい方に向いている、といったメリットもあります。
デメリットは、気密性が低く隙間からの空気が入りやすい点があげられます。
人が出入りできる高さの窓を「掃き出し窓」、換気や自然光を取り入れるための腰の高さの窓を「腰窓」として区別していることが多いです。
部屋に合ったサイズや光の入り方などを意識して設置するといいでしょう。
すべり出し窓
すべり出し窓は1枚の窓をスライドさせるタイプで、回転軸を中心に室内外のどちらかに開閉させることが出来ます。
比較的コンパクトなサイズで使われることが多く、スタイリッシュな印象を作りやすいのが特徴です。
外開きの場合、窓が風を受けてくれるため風通しが良く、換気が必要な場所に適しています。
さらに掃除の際は、2階やベランダがない場所でも外に出る必要がないため楽に窓拭きが可能です。
また、外開きだと枠から飛び出すため頭や体をぶつけないように、窓を開いた分のスペースが必要になるため配置に気をつけましょう。
上げ下げ窓
上げ下げ窓とは、2枚のガラスを上下に動かして開閉させるタイプの窓です。
種類はいくつかあり、下の窓だけを動かせる「シングルハング」と両方の窓を動かせる「ダブルハング」、上下の窓が連動する「バランス」などがあります。
上げ下げ窓は海外で使われることが多い窓で、お洒落でかわいいイメージを作れることで人気の窓です。
また、気密性や断熱性に優れているため部屋の熱が逃げにくい点はメリットとしてあげられます。
一方デメリットは、他の窓と比べて開閉がしづらい、また両開きのカーテンには適さない点です。
両開きのカーテンは使いづらいと感じる方が多いため、ブラインドやロールカーテンを設置するなどの工夫をしましょう。
ルーバー窓
ルーバー窓は、複数の細いガラスが連なって構成された窓です。
ブラインドのような形状で角度を変えながら換気が出来ます。
気密性は低く換気に適した窓のため、キッチンやトイレなどに使われることが多いです。
また、プライバシー性が求められる浴室などでは、外から室内が見づらく視線を遮られておすすめです。
FIX窓
FIX窓とは、1枚のガラスで固定されていて開閉できない窓のことで「はめ殺し窓」とも呼ばれます。
シンプルな構造のため形やサイズの自由度が高く、デザイン性にこだわりたい場所など好みに合わせて設置することが可能です。
デザイン性が高いだけでなく、気密性や断熱性にも優れているためリビングや階段の設置に適しています。
しかしFIX窓は、窓をあけることが出来ないため掃除が難しいといったデメリットがあり、設置位置に注意が必要です。
安価で取り入れやすいFIX窓ですが、手の届かない天窓などに設置すると業者に掃除を頼まなくてはいけないため維持コストが発生するケースも考えられます。
コストを考えるのであれば、外から掃除がしやすい1階に設置するなど工夫するといいでしょう。
窓のガラスとサッシの種類
窓のタイプが決まったら、窓ガラスとサッシ窓枠を選ぶ必要があります。
種類によって性能が変わるため、それぞれの特徴を理解しましょう。
以下で詳しく解説します。
窓ガラス
窓ガラスの種類は以下の表の通りです。
種類 | 特徴 | 値段(90×90cm) | メリット | デメリット |
複層ガラス | 断熱性が高い | 1万~2万円程度 | 安価 | 他のガラスより重い |
Low-Eガラス | 断熱性と遮熱性が高い | 2万~4万円程度 | 複層ガラスより高性能 | 高価 |
以下でそれぞれ詳しく解説します。
▼複層ガラス
複層ガラスとは複数枚のガラスを重ねたガラスです。
重ねたガラスの間に空気を密閉し、暑さや寒さを遮断することで断熱効果を高めています。
例えば1枚のガラスは薄く冬は寒さを感じやすいですが、複数枚重ねることで暖房効率が上がると考えると分かりやすいでしょう。
また、複層ガラスは比較的安い値段で買えるためコストを抑えたい方におすすめです。
▼Low-Eガラス
Low-Eガラスとは「Low-E膜」と呼ばれる特殊な金属膜をコーティングしたガラスです。
Low-E膜とは、複層ガラスの間に挟まれた金属製の膜のことで、複層ガラスよりも断熱性の高さが期待されます。
さらに、日射による熱を吸収しないように反射させるなど、遮熱性にも優れていて高性能です。
性能が良い分、値段も他と比べると高価なため、全ての部屋に設置すると建築費が高くなるケースがあります。
例えば、西日の気になるリビングの窓だけに設置する、または畳の劣化を防ぐ為に和室だけに設置するなど、複層ガラスと組み合わせて設置することで価格を抑えられることでしょう。
サッシ窓枠
サッシの種類は以下の表の通りです。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
アルミサッシ | ・軽い
・サビにくい |
安い | 結露ができやすい |
樹脂サッシ | ・熱伝導率が低い
・気密性が高い |
熱伝導率が低い | 紫外線に弱い |
アルミ樹脂複合サッシ | ・アルミサッシより
耐熱性が高い |
耐熱性が高い | アルミ部分に結露が
できやすい |
木製サッシ | ・断熱性が高い
・結露が出来にくい |
おしゃれ | 腐敗しやすい |
高断熱トリプルサッシ | ・断熱性が高い
・遮音性が高い ・防犯性が高い |
性能が高い | 高い |
以下でそれぞれ詳しく解説します。
▼アルミサッシ
アルミサッシは、一軒家やマンションなど場所を選ばず多くの場所で一般的に使われています。
耐久性はもちろんのこと、軽くてサビにくく扱いやすいサッシです。
また、アルミサッシは安価なものが多いため費用を抑えたい方に適しているでしょう。
しかし断熱性に劣る部分があり、冬は冷たくなりやすく結露もできやすいです。
このようなデメリットもガラスの素材によっては改善出来る場合があるため専門員に相談して決めてみてください。
▼樹脂サッシ
樹脂サッシは、樹脂のみで作られたサッシです。
熱を伝えにくい素材で出来ている樹脂は熱伝導率が低く、また気密性が高いため冬も快適に過ごせます。
しかし、樹脂は紫外線に弱く劣化しやすい点が難点です。
外からの紫外線に当たり続けていると変形してしまうケースがあります。
樹脂サッシにこだわる方は、定期的なメンテナンスが必要になることを覚えておきましょう。
▼アルミ樹脂複合サッシ
アルミ樹脂複合サッシとは、アルミと樹脂を組み合わせたタイプのサッシです。
前述したように、樹脂は熱が伝わりにくい素材で出来ています。
そのため、アルミサッシよりも耐熱性に優れておりアルミの欠点をカバーした作りです。
また、耐久性も問題なくサッシの中ではアルミ樹脂複合サッシが1番オーソドックスなタイプのため、迷ったらこちらを選ぶと間違いないでしょう。
1点デメリットをあげるとしたら、アルミ部分に結露が出来てしまうことです。
結露は、ガラスによって改善できる方法もあるため、あまり気にしなくても問題ありません。
▼木製サッシ
木製サッシは木で作られたぬくもりを感じさせるサッシです。
お洒落な雰囲気を壊さない一方で、腐食しやすいといったデメリットがあります。
木で作られたサッシのため、水分を含むと腐りやすくなったり、木が反ってしまうなどの問題があることを理解しておきましょう。
このようなことから、定期的なメンテナンスが必要となり、維持コストがかかることもあります。
他のサッシと比べると扱いづらい木製サッシですがインテリアにこだわる方におすすめのサッシです。
▼高断熱トリプルサッシ
高断熱トリプルサッシとは、その名の通り断熱性の高さが特徴の3枚ガラスの窓枠です。
ガラスが3枚になっている住宅はこれまであまりありませんでしたが、近年取り入れる方が増えてきました。
断熱性、気密性、防犯性、結露などメリットが多く高い性能を持っています。
防犯性に関しては、窓からの侵入犯罪が多いなか、強化された3枚窓は簡単には外から入ることはできません。
その安全性の高さも含めて人気のある窓ですが、値段が高く導入コストがかかります。
とはいえは、光熱費の削減などを考えると導入する価値はあると言えるでしょう。
窓選びで失敗しがちな点
窓を設置したけど、「こんなはずじゃなかった」といった声は多く存在します。
窓選びで失敗しがちな点を5つに絞って紹介するので参考にしてください。
窓が大きすぎて家具の置き場所に困る
たくさんの光を部屋に取り込みたいと感じている方は多いかと思います。
そのためにリビングには大きな窓を設置することがあることでしょう。
しかし窓が大きすぎては、家具を置く場所がなくなり置き場所に困るといった失敗例があります。
さらに、窓が大きすぎると外から部屋の中が丸見えになってしまうケースも多いです。
部屋に大きな窓を設置したい際は、サイズ感をよく確認して検討しましょう。
採光性が高く西日がまぶしい
採光性が高いことは、部屋が明るくなるため良いメリットです。
しかし西日が入りすぎてしまうと、まぶしすぎたり暑すぎたりとデメリットも発生します。
気になる方は日の入り方や、家具の位置などを調整して快適に過ごせるよう改善しましょう。
すべり出し窓のスペースを忘れてた
すべり出し窓は、室内外のどちらかに開閉するタイプなため開けたときのスペースの確保が必要です。
しかし、外に開けた際の外側に十分なスペースがなく開けられないといった失敗例があります。
せっかく設置したのに開けられないのはもったいないため、外からの環境も事前にしっかり調べておきましょう。
掃除がしにくい場所に設置してしまった
窓にこだわって設置したのはいいけど、手の届かない場所で掃除ができないといったケースがあります。
天窓やベランダのない2階などに設置してしまうと、外からも手が届かないため注意が必要です。
また自分で掃除が出来ずに掃除業者に頼むことになり、維持コストがかかってしまった失敗例もあります。
窓の設置位置ポイント
窓選びにはちょっとしたコツが必要です。
どのような点に注意すれば失敗しないかを以下の4点に絞って解説します。
・風通り道をつくる
・プライバシーと採光性の両立を図る
・家具の配置を考える
・設置後のメンテナンスを考える
下記でそれぞれ解説します。
風の通り道をつくる
窓の役割である換気性能を最大限に利用するには、部屋の風通しを意識することがポイントです。
例えば大きな窓が1つあっても風の通り道がないため換気性能を発揮することは出来ません。
しかし部屋の両端に窓を2つ設置した場合、風は通りやすくなり換気の通り道が出来上がります。
このようにバランスよく配置することで新しい空気がめぐりやすくなることでしょう。
プライバシーと採光性の両立を図る
日当たりを意識して大きな窓を設置した場合、プライバシーとのバランスにも注意が必要です。
日当たりだけを重視して、外から部屋の中が丸見えになってしまうケースがあります。
明るい部屋にするために大きな窓にしても、部屋が丸見えではカーテンを閉め切ってしまって採光性を発揮できません。
部屋は明るくプライバシーも保護できるよう両立出来る配置を意識して、天窓の設置や庭にフェンスを設置するなどの対策をしましょう。
家具の配置を考える
部屋の開放感を求めて窓のサイズを大きくしたり、複数の窓を設置したりすることで壁面が減りすぎてしまう点に注意しましょう。
窓を作りすぎてしまうと、ソファやテレビなど大型の家具を置く場所がなくなってしまいます。
部屋の開放感や採光性は考えつつも、物が置ける環境をしっかり確保しインテリアの完成図を頭に入れて設計しましょう。
設置後のメンテナンスを考える
窓の配置にこだわることは良いですが、設置後のメンテナンスまで考えることが大切です。
例えば、2階のトイレにFIX窓を取り入れたとします。
開け閉めの出来ないFIX窓は、2階に設置してしまうと外からの掃除がかなり大変になることでしょう。
このように自分で掃除が出来ない場所に設置してしまうと、業者に頼んで定期的なメンテナンスが必要になってしまいます。
低コストで窓を選ぶ際は、設置後にもかかる費用までを考えて慎重に配置位置を決めましょう。
窓と部屋の相性が良い選び方
部屋によって窓の種類を分けて設置することが快適な暮らしの近道です。
窓のサイズや配置などは部屋によって変わるため、部屋の特徴をしっかり捉えておく必要があります。
部屋別の窓の選び方を下記で紹介していくので参考にしてください。
リビング×引違い窓
リビングでは、たっぷり自然光が入るサイズの窓を取り入れましょう。
大きなサイズを選べる引違い窓はリビングに最適な空間を作ることができます。
場所をとらずに好きな場所に設置できるため万能な窓です。
さらに、部屋から見える庭の景色を工夫すると、リビングをさらに広く見せることができます。
ただし、大きな窓は外からの目線が気になるといった問題がある場合はフェンスを利用するなど対策をしましょう。
また、南向きの窓を作ることが出来なかったり日当たりが悪い状況の場合は、天窓などで明るい部屋にすることも可能です。
キッチン×すべり出し窓
キッチンでは、換気がしっかり行えるすべり出し窓がおすすめです。
コンパクトサイズなものが多いためキッチンのスペースを邪魔することなく設置が出来ます。
また、開放感のあるキッチンにするため採光が確保できる窓にしましょう。
縦長のキッチンは薄暗くなりやすいので、閉塞感のない空間になるよう設置位置にも意識することが大切です。
また、西日が差し込むと暑くなりやすい点も予測し、ルーバー窓などで日差しをカット出来るように対策するといいでしょう。
階段×FIX窓
階段におすすめなのが、FIX窓です。
階段では、日中でも電気を付けなくてもいいように採光を意識した設置をしましょう。
目線が気にならないように、窓のサイズや高さを調整してしっかり光が入るように配置を心がけてください。
階段に窓は必須ではありませんが、設置することで明るい日差しだけでなくお洒落な印象を与えることもできます。
まとめ
窓選びは、部屋にあった種類や簡単やコツを理解すれば失敗のない快適な部屋になります。
窓の形とサッシの種類を選び、次に設置位置を決めていきましょう。
ここで設置位置のコツやポイントを押さえることが重要です。
日当たりを考えて窓のサイズや配置を考えましょう。
また、掃除のしやすさまで想像しながら設置することでより良い窓選びが可能です。
ただし窓によっては、維持コストがかかるものや、劣化しやすい素材、などデメリットが発生します。
注意点やポイントをしっかりと理解した上で、失敗しない窓選びをしましょう。