家づくりで間取りを考える時に、家事動線を意識することは重要です。
暮らし始めてから自分たちの家事がしやすく、暮らしやすい間取りを考えるようにしましょう。
そこで、ここでは家事動線の良い間取りとはどんなものなのかについて解説しています。
暮らしやすい間取りの事例も紹介していますので、どうぞご覧ください。
目次
家事動線の良い間取りとは?
家事動線の良い間取りとは、家事の負担を少なくして楽にできる家事動線をいいます。
また、さらに誰でも家事をしやすい間取りにすることも重要です。
最近では、家事代行サービスやホームヘルパーに家事を依頼する人も増えています。
その時に、家族以外の人にもどこに何があるのかがわかりやすくなれば、外部のサービスを利用する際にも負担が少なくなります。
家事動線を考える際には、移動距離だけでなく適材適所に収納があるとより家事を楽に遂行できます。
家事動線を間取りに取り入れることで得られる効果
家事動線を間取りに取り入れることで様々な効果が得ることができるでしょう。
・アクセスがしやすくなる
・プライベートが確保できる間取りにする
・家事がスムーズに進められる
ここでは、上記3つの効果について解説していきます。
アクセスがしやすくなる
家事動線をうまく取り入れることで、どこからでもアクセスがしやすくなります。
例えば、キッチンをリビングの中心に配置することで、他の部屋へも手軽に行き来がしやすくなります。
家事が効率よくこなせるので家事動線を間取りに取り入れるのはおすすめです。
プライベートが確保できる間取りにできる
家事動線を考える上で動線を来客用と家族用に分けることで、プライベートを確保した間取りを取り入れることが可能です。
玄関から洗面所などのプライベートな部分がお客様から見えないような通路がある間取りを取り入れるのも良いでしょう。
家事がスムーズに進められる
毎日仕事や子育てに忙しい中で家事も毎日こなすのはとても大変なことです。
家事動線を意識した間取りは、家事の負担を減らせます。
キッチンやリビング、洗濯室などの水回りを集約させることで、移動距離を短くし効率よく家事を進められます。
家事動線の種類
家事動線には7種類の動線があります。
・洗濯動線
・掃除動線
・買い物動線
・ゴミ出し動線
・回遊動線
・来客動線
・料理動線
それぞれの動線について解説していきます。
洗濯動線
洗濯動線とは、以下の過程を指します。
1.洗濯物を洗う
2.干す
3.畳む
4.衣類をしまう
これらの作業をする際、それぞれの作業場所が遠かったり往復したりする動線だと、ストレスになります。
洗濯動線を考えるなら、ランドリールームや物干し場・サンルームなどの設置、収納場所の距離を短くすることでスムーズに作業をこなせます。
洗濯は作業工程が多いので、少しでも負担が減らせる動線を考えることが必要です。
掃除動線
掃除動線の工程は、掃除機などを使って部屋を綺麗にしてゴミを捨てるまでの動作のことです。
コンセントや水道の位置、掃除用具を収納する場所を考えた間取りにする必要があります。
・広範囲で掃除機がかけられるような場所にコンセントを取り付ける
・リビングの近くに掃除用具を収納する場所を確保する
上記のように電気配線や収納場所を考える必要があります。
買い物動線
買い物動線とは、玄関から食材や生活用品などを収納するまでの動作をいいます。
重たい荷物を収納する動作が必要になるので、移動距離を短くすることがポイントです。
駐車場からすぐにキッチンに行ける間取りにするのもおすすめです。
ゴミ出し動線
ゴミ出し動線は、それぞれの部屋のゴミを集めてゴミ袋に詰めて、収集場所に持って行くまでの動線です。
こちらも買い物動線と同様で、重たいものを持ち運ばなければならないので、動線距離を短くする必要があります。
回遊動線
回遊動線とは、家の中をぐるっと回遊できる動線のことです。
行き止まりがないので、部屋同士の移動がしやすくなるという特徴があります。
うまく間取りを考えればコンパクトにまとめられるので、広々とした間取りで回遊動線を取り入れたい方におすすめです。
来客動線
来客動線は、来訪者が玄関からリビング・客間で移動するまでの動線のことです。
この動線には、洗面所や浴室などのプライベートな空間をお客様に見られないようにするためにも考える必要があります。
リビングや玄関に収納を設けると、来客前に室内を整理整頓する際にも楽です。
料理動線
料理動線は、調理をして配膳をし、片付けをするという流れを指します。
キッチンとダイニングテーブルの距離を近くするスムーズな動線を確保可能です。
対面型やカウンター型にすることで、バタバタと忙しい時でも片付けがしやすくなります。
家事動線の良い間取りにするポイント
家事動線の良い間取りを考える際のポイントを紹介します。
・何の家事を楽にしたいかを考える
・空間同士を繋げる間取りにするか廊下を配置するか考える
・ながら家事ができる間取りを考える
・収納スペースの配置を考える
・移動距離を短くする
・回遊性のある間取りを考える
・コンセントの数と位置を考える
・間取り図を書いて考える
・普段の家族の行動で動線を考える
・収納方法を検討する
上記10のポイントについて解説していきます。
何の家事を楽にしたいかを考える
先に述べたように、家事動線にはいくつか種類があります。
説明した家事動線を全て反映させた完璧な間取りを考えることができれば理想的です。
しかし、現実には敷地の形状や玄関の位置によって全ての家事動線を採用した間取りを考えることは難しいです。
家事動線を考える際には、どの動線を特に優先したいかを考慮した上で考えるようにしましょう。
例えば、家事動線の中でも特に洗濯の動線を楽にしたいと考えるなら、脱衣室と洗濯室、収納スペースを近い間取りにすると良いでしょう。
掃除を楽にしたいなら、動線になる通路の途中に掃除用具を入れる収納スペースを作ったり、回遊動線を採用することをおすすめします。
空間同士を繋げる間取りにするか廊下を配置するか考える
間取りを考える際、空間同士を繋げた間取りにするか廊下を配置するかを考えるようにしましょう。
空間同士を繋ぐ間取りは、扉を付けて仕切ったりオープンに繋げたりなど様々な繋げ方があります。
家事動線を短くしたいのであれば、空間同士を繋げた間取りがおすすめです。
廊下を配置して空間を繋げる間取りの場合、動線の距離が長くなります。
しかし、距離が長くなる分、臭いや音・湿気・目線などを気にせずに過ごすことが可能です。
例えば、玄関とパントリーが隣り合っていると玄関からパントリーが見えてしまう可能性があります。
リビングと土間収納が近いと、臭いがリビングまで届いてしまう場合もあるため、廊下を挟んで臭いや音・湿気や目線が気にならないような間取りにするのもおすすめです。
ながら家事ができる間取りを考える
ながら家事ができる間取りは、家事を時短でき負担を減らせるのでおすすめです。
例えば、料理や洗濯をしながら子供の様子が見える間取りにすることで、子供の様子を見ながら安心して家事を進められます。
また、買い物した食材や日用品はまとめて1つの収納スペースにストックするのも良いでしょう。
様々な場所に収納していると、いちいち取りに行くのが負担になるのでまとめて収納できる場所があると家事の時間を短縮できます。
収納スペースの配置を考える
収納スペースの配置はとても重要です。
キッチンとパントリーを隣接させることで、買い溜めした食材を調理の時にすぐに取りに行けます。
また、洗濯機を置いた部屋の隣にファミリークローゼットを設けることで洗濯して乾燥した衣類をすぐに収納できるので便利です。
このように、必要なものを撮りに行ったり収納する際に、収納スペースをすぐそばに置いておくとスムーズな家事動線になります。
水回りスペースをまとめる
家事動線を考える上で、水回りスペースをまとめた家事動線は人気です。
キッチンや洗面室、浴室、トイレなどの水回りを全て一箇所にまとめることで、家事がしやすくなります。
ただ、水回りスペースをまとめると、家族が身支度をする際に渋滞する可能性があります。
そのため、家族が渋滞しないようにするためにも通路を塞がずに通れる工夫を考える必要があります。
水回りスペースをまとめて回遊動線を取り入れるのもおすすめです。
移動距離を短くする
家事動線は移動距離が短いとスムーズに家事をこなせます。
・洗濯から干す場所までの移動距離
・料理をしながら洗濯をする時の移動距離
・ゴミ捨てをするときの移動距離
・買い物後に食材や生活用品を収納するまでの移動距離 など
家事をする際に調理や洗濯などを同時並行でこなすこともあります。
水回りや収納スペースを近くに集約して移動距離を短くすると、ちょっとした移動でのストレスを減らすことが可能です。
回遊性のある間取りを考える
家の中を移動して行き止まりのない回遊性のある間取りを取り入れることで、移動距離を短くできスムーズな移動が可能になります。
全てのスペースを繋ぐことは難しいですが、自分たちが生活する上でどこを回遊動線にすれば良いかを考えて取り入れるようにしましょう。
コンセントの数と位置を考える
家事動線を考えるなら、間取りだけでなくコンセントの数・位置も検討しましょう。
例えば、キッチンで使う家電が何個あるか、掃除をかける時にどこにコンセントがあると便利か、玄関や土間収納にコンセントが必要かどうかなどを検討します。
また、カウンター上など高い位置にコンセントを設けることで、物などで隠れてコンセントが使いづらいなどもありません。
間取り図を書いて考える
どんな家に住みたいのかを考える際に、試しに自分で間取りを書いてみるのもおすすめです。
こんな動線なら自分たちのライフスタイルに合っているなど、理想の間取りを考えそのアイデアを設計士に伝えてプランニングしてもらいましょう。
何の動線を優先するかなどを考えて間取りを書いてみると、自分たちがどんな家に住みたいのかも自然とわかってきます。
普段の家族の行動で動線を考える
家事動線を考える際、自分の行動だけでなく一緒に住む家族の行動も考慮した動線を考えてみましょう。
実際に今住んでいる家でどんな動線で行動しているのか、色分けをして線を書くことで、どこに収納があれば良いのか、水回りの間取りをどのようにすれば良いのか見えてきます。
カバンをどこに置くのか、勉強や仕事はどこでするのかなど細かい行動を書くのも良いでしょう。
家事動線を考えた間取りの事例
ここからは、家事動線を考えた間取りの事例を紹介します。
・水回りを中心に持ってきた間取り
・ユーティリティを取り入れた間取り
・廊下を無くした間取り
・収納スペースを確保した間取り
・玄関・キッチン・パントリーをまとめた間取り
・アイランドキッチンを取り入れた間取り
・洗濯物を取り込む効率よく作業できる間取り
・サニタリー・キッチン・サンルームまでが一直線になった間取り
ここでは、上記8つの事例を紹介します。
水回りを中心に持ってきた間取り
水回りを中心に配置することで、居室やLDKのどちらからでもアクセスがよくなります。
すぐに水回りに行けるので、朝の身支度をする際も移動距離が短くて便利です。
家事室を取り入れた間取り
家事室で洗濯やアイロンがけ、衣類を畳んだりするといった作業をする空間にすることで家事動線をより効率よくできます。
家事室の近くにファミリークローゼットがあると、乾かした衣類をすぐに取り込めるのでより便利です。
廊下を無くした間取り
廊下を設けずにLDKと個室を直結させた間取りにすることで、移動距離を短くして効率良い家事動線になります。
また、来客の際にLDKを通さずに玄関直結の和室や客間を設ける間取りも良いでしょう。
プライバシーな部分をお客様に見られることがなく安心できます。
収納スペースを確保した間取り
毎日生活しているとどうしても物が増えてしまいます。
LDKや洗面室など、要所要所に収納スペースを設けることで、効率よく片付けすることが可能です。
またどこに何を収納しているのかわかるように、パントリーやファミリークローゼットなど「モノの住所」を決めることで整理整頓しやすくなります。
物を特定の場所に収納する習慣を身につけることで、常に家の中が片付いた状態にできます。
玄関・キッチン・パントリーをまとめた間取り
玄関とキッチン・パントリーをまとめた間取りは、家事動線として人気が高いです。
買い出しした食材を玄関からすぐにパントリーにしまえる動線にすることで、重たい荷物を運ぶ負担を少しでも軽減させられます。
キッチンとパントリーの距離が近ければ、調理中でもすぐにパントリーへ食材を取りに行くことが可能です。
キッチンと玄関が近ければ、ゴミ出しをする際にも効率がよくなります。
アイランドキッチンを取り入れた間取り
アイランドキッチンは、周りに壁がないキッチンのことです。
開放感があり、キッチンに立てばリビングやダイニングを見渡せます。
アイランドキッチンを導入することで、アイランドキッチンを中心に回遊動線を取り入れることが可能です。
例えば、キッチンの横にパントリー収納を取り入れ、反対側に洗濯室などの水回りスペースに向かえる動線を取り入れる間取りがおすすめです。
調理中でもパントリーに食材をパッと取りに行き、洗濯をしながら家事も
できます。
シューズクロークを回遊できる間取り
玄関の隣に土間収納を作るなら、家族のたくさんの靴やベビーカー、ゴルフバックなどを収納できる広さがあると便利です。
さらに、シューズクロークから直接ホールに上がれるようにすれば、わざわざ玄関にUターンしなくても済みます。
洗濯物を取り込んで効率よく作業できる間取り
家族が多く洗濯物が多いと、干した洗濯物を取り込むと山積みになることもありますよね。
また、急な来客があった時にリビングに洗濯物を取り込んだ場合、慌てて片付けなければなりませんよね。
そんな時は、洗濯物をランドリールームなどに取り込むようにすると良いでしょう。
またキッチンとランドリールームを繋げれば、調理をしながら空いた時間に洗濯物を畳むなどしながら家事がしやすくなります。
家事の作業時間も短縮できるのでおすすめです。
サニタリー・キッチン・サンルームまでが一直線になった間取り
共働きの場合、家事を分担して作業する必要があります。
毎日仕事で忙しい中家事をするのは大変です。
そんな時は、サニタリー・キッチン・サンルームまでを一直線に並べた間取りにすることで、調理をしながら洗濯作業もでき家事効率を上げられます。
家事動線で失敗した間取りの事例
家事動線を意識して間取りを考えたが、失敗してしまったという事例もあります。
ここでは、家事動線で失敗した間取りを4つ紹介します。
・居室が狭くなった
・収納場所が少なかった
・プライバシーがなかった
・全ての作業工程を考えた間取りになっていなかった
居室が狭くなった
回遊動線や家事動線を考える上で、通路を作らなければならない場合もあります。
しかし、家事動線を意識するあまり、通路を設けすぎるとその分居室に使う面積が少なくなります。
元々の延床面積が大きくない場合、家事動線を意識して通路を設けすぎると居室が狭くなることがあるので、バランスよく取り入れるようにしましょう。
家具をどこに置くのか、ということまでしっかりとシミュレーションして間取りを考えるようにしてください。
収納場所が少なかった
キッチンと洗面所を隣接させることで調理をしながら洗濯をするなどのながら家事が可能です。
しかし、動線が短くなった反面、収納が不足してしまうこともあります。
動線を短くするのも大切ですが、キッチンで必要な道具を入れる収納場所や洗面室で使うタオルなどの生活用品を収納できる場所も確保しましょう。
プライバシーがなかった
効率的な家事動線を優先しすぎて、プライバシーが確保できない間取りになることもあります。
・子供同士の部屋を行き来できるようにしたが、思春期になった時にプライバシーがないと言われた
・来客時にお客様を誘導する際に洗面所の前を通る間取りになってしまった
上記のように、効率ばかりを考えた結果、過ごしにくい間取りになることもあります。
効率だけでなく、住む時の暮らしやすさも考えるようにしましょう。
全ての作業工程を考えた間取りになっていなかった
洗濯物を洗って干すまでの動線は考えていたが、干して乾いた後に衣類を畳んだり収納したりする動線までを考慮していなかったという事例もあります。
洗濯物を畳むスペースや収納までを考慮しておらず、リビングに洗濯物が散乱したり、収納スペースまでの移動距離が遠いとそれだけでもストレスになります。
洗濯は作業工程が多い家事です。
家事を初めて終わるまでの工程をイメージして間取りを考えるようにしましょう。
まとめ
暮らしやすい家事動線を考えた間取りについて解説しました。
効率良い家事動線を考えることは、住み始めてからの生活をしやすくしてくれます。
これまで解説したことを参考に、家事動線を取り入れた間取りを考えてみましょう。